2017年9月7日木曜日

通常の1,000倍の太陽フレア発生。8日にもコロナガスが地球に到達へ。人工衛星等への障害についてNICTが注意喚起。

情報通信研究機構(NICT)は7日、通常の1,000倍の太陽フレアを観測したことを発表した。今回のフレアに伴い、高温のコロナガスが地球方向に噴出されたという。NICTは、通信衛星や放送衛星の障害、GPSの後さ増大などの影響が生じる恐れがあるとして、注意を呼び掛けている。



NICTが公表した太陽観測画像
(C)NICT
出典:NICTのプレスリリースより


太陽の黒点群の領域で発生発生する「太陽フレア現象」では、強い紫外線やX線、電波等が放出されることに加え、高温のガス(コロナガス)が放出される場合がある。太陽フレア減少は、規模が小さいものから順に、A、B、C、M、Xにクラス分けされる。今月6日、最大のXクラスの太陽フレア現象が2回にわたり観測されており、中でも2回目の現象は11年ぶりの水準だという。


太陽フレア現象に伴うコロナガス放出により、軌道上の人工衛星などへの影響が懸念されている。我が国の例では、平成15年10月29日未明に発生したデータ中継技術衛星「こだま」(DRTS)の地球センサ異常も、同年の太陽フレア現象に伴う影響とみられている。


NICTによれば、今回地球方向に放出されたコロナガスは、明日8日15時頃から24時ごろにかけて、地球に到来する見通し。NICTは、今後一週間ほど地球に影響を与える可能性があるとして、注意を呼び掛けている。


詳細はNICTのプレスリリースなどを参照。
NICTプレスリリース「通常の1000倍の大型太陽フレアを観測
NICT「宇宙天気予報ポータルサイト

勝浦宇宙通信所、電話設備更新へ。10年前の設備を交換。部品供給への懸念から。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6日、勝浦宇宙通信所の電話設備の更新に関する調達に着手した。JAXAが公表した調達仕様書によれば、現在宇宙通信所で使用している電話設備は、導入から10年以上経過したため、故障時における部品供給が困難となっているという。



勝浦宇宙通信所は外房の千葉県勝浦市に所在する、JAXAの通信施設。直径20~10mのアンテナを用いて人工衛星の追跡・管制が行われている。人工衛星からの電波を受信するとともに、地上からのコマンドを送信する役割だ。JAXAが公表した調達仕様書によれば、現行の宇宙通信所の電話交換設備はもともとJAXAの大手町分室で使用されていたもの。平成23年に大手町分室が廃止されたことに伴い、宇宙通信に移設された。大手町分室時代から起算して10年以上が経過しており、「故障した場合に部品供給が困難」(JAXA)となっている模様。さらに、現在宇宙通信所で使用している電話機のうち、最も多い型式(Dterm85)については、製造メーカーであるNEC/NECプラットフォームズの販売・保守は終了している


今回JAXAは、電話交換機本体の他、停電用多機能電話2台、コードレス電話機2台、デジタル多機能電話機24台を調達する予定。12月25日までの納入を求めている。調達は、価格を評価する一般競争入札で実施され、27日正午までの書類提出を経て、来月3日の入札・開札を予定している。


詳細は、JAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報

2017年9月6日水曜日

JAXA、沿岸漁業を調査へ。新型衛星「しきさい」の利用拡大に向け。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が沿岸漁業における海況情報(海水温などの海洋の状況に関する情報)の利用実態などを調査することが分かった。6日、JAXAは調査会社の選定に向けて、一般競争入札による調達に着手した。今年度の打ち上げ予定としている気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)で取得したデータを沿岸漁業での活用につなげるため、基礎情報を獲得する狙いがある。



JAXAの調達仕様書によれば、今年度打上げる「しきさい」により、250m~1Km級の水温情報や水色情報の取得が可能となり、これら「しきさい」が観測したデータにより、シラス漁やサワラ引網漁などの操業効率化、赤潮被害の軽減などへの貢献が期待できるという。


「しきさい」をはじめとする人工衛星から取得した情報が、海況の把握や漁場の推定に活用できることについては過去、政府の総合海洋政策本部でも取り上げられるなど、期待が寄せられている。JAXAも、水産資源の減少や魚価安、燃油高などの沿岸漁業を取り巻く状況から、操業効率化に活用できる衛星情報への期待が大きいととらえている。その一方で、実際の沿岸漁業では衛星情報は「あまり利用・普及が進んでいない」(JAXA)という。


今回JAXAは、沿岸漁業におけるニーズを的確に把握することを目的として、「しきさい」打上げ後の観測データの利用を進めるための基礎情報を収集したい考え。北海道や東北を中心に、主として太平洋側の沿岸漁業者に対しヒアリングすることで、海況情報の活用状況や将来的な活用見込み、衛星への期待度などを把握する。対象となるのは、定置網、沿岸はえ縄、刺網、オキアミ漁、シラス漁、養殖など。このほか、海況を利用していない漁業協同組合等20団体以上に対してアンケートを行い、今後の衛星観測データの利用可能性も検討する。これらの調査のため、調査会社を一般競争入札で選定する予定だ。


今回の入札について、JAXAは今月20日に説明会を開催する予定。28日までに必要書類を受け付けたうえで、来月4日には入札・開札が行われる見通し。


詳細は、JAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報

【平成30年度概算要求】JAXA、1,994億円を計上。「確実に世界的成果を目指す」

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、平成30年度の概算要求として、文部科学省を通じて1,994億円を計上したことが分かった。1日に、奥村理事長が定例記者会見で明らかにした。



現在進めているH3ロケット技術試験衛星9号機(ETS-9)先進光学衛星(ALOS-3)及び先進レーダ衛星(ALOS-4)などのプロジェクトについて引き続き取り組むとともに、国際宇宙探査ミッションの開発研究や深宇宙探査技術実験機(DESTINY+)に新規に取り組むとして、平成29年度の1,537億円に対し、457億円増となる1,994億円を計上した形。


なかでもH3ロケットについては340億円を計上している。JAXAは来年度を、(平成32年度初打ち上げに向けた)「ピークの年」と捉え、今年度比150億円増の予算を要求した形。


新規に予算要求を行うJAXA事業としては、深宇宙補給技術、有人宇宙滞在技術、重力天体離着陸技術、重力天体探査技術に関する技術実証等を目的とした「国際宇宙探査ミッションの開発研究」に約5.5億円、低コスト・小型軽量な宇宙探査技術の実証を行う深宇宙探査技術実験機(DESTINY+)に対し約3億円を計上した。


詳細はJAXAウェブサイトを参照。
JAXA「平成29年9月理事長定例記者会見

関連記事
【平成30年度概算要求】深宇宙補給技術、有人宇宙滞在技術など開発研究へ。深宇宙探査技術実証機(DESTINY+)も。(文科省)

2017年9月5日火曜日

KDDI、JAXAからロケット関連回線網を受注。5年で7,713万円。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は5日、筑波宇宙センター等とロケットメーカなど各所を結ぶ回線網の調達に関する入札結果を公表した。JAXAが公表した入札結果によれば、KDDIが7,713万円で落札したことが明らかにされている。



筑波宇宙センター
(C)航空宇宙経済新聞


今回JAXAが調達したのは、筑波宇宙センターや相模原キャンパスと三菱重工の名古屋航空宇宙システム製作所名古屋誘導推進システム製作所など国内メーカの各拠点を結ぶ回線など。筑波宇宙センター=三菱重工などとの回線とは別に、内之浦宇宙空間観測所や種子島宇宙センターからは、別にIHIエアロスペースの富岡事業所を結ぶ。


借り上げ期間は今年10月から平成34年9月末までを予定している。入札は価格による一般競争入札で行われた。


詳細は、JAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報

関連記事
JAXA、ロケット関連回線網の調達に着手。筑波宇宙センター等とメーカを結ぶ。一般競争入札で。

国産3D地図がアジア太平洋地域の地理空間情報分野における優秀賞を受賞。NTTデータとRESTEC。

NTTデータリモート・センシング技術センター(RESTEC)は先月24日、両者が提供するデジタル3D地図が、Asia Geospatial Excellence Award(アジア地理空間優秀賞)を受賞したと発表した。アジア太平洋地域における地理空間情報の応用実績、政策利用や優れたイノベーションを表彰する優秀賞として、NTTデータとRESTECが宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携して提供している国産3D地図が評価された形だ。



NTTデータが公表している3D地図画像
(C)株式会社NTTデータ
出典:株式会社NTTデータのウェブサイト「INFORIUM」より


NTTデータとRESTECは、JAXAの陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)が撮影した約300万枚に上る衛星画像をもとに、3D地図を平成26年2月から提供している。5m解像度の標高モデルで世界中の陸地の起伏を表現したのは世界初の取り組みだという。平成27年からは、米国のDigitalGlobeの衛星画像を利用して最高0.5m解像度を実現し、建築物レベルでの起伏表現を反映した高精細3D地図の提供を開始した。


3D地図は高精度、高品質が特徴で、これまでアジアなど60か国以上でインフラ整備や災害対策などに活用されているという。従来NASAなどが提供してきた30m~90m解像度から、5m級へと3Dマップの解像度を大幅に向上させている。「JAXA、RESTEC、MTTデータ。この3つの機関の相乗効果」(NTTデータ社員)によるところが大きいという。平成28年には、「防災・電力・通信・資源・都市計画サービス等の効率化と高度化を実現」したことや「新たな市場拡大に成功」したことが評価され、第2回宇宙開発利用大賞内閣総理大臣賞を受賞したほか、翌年には2016年日経優秀製品・サービス賞「優秀賞 日経産業新聞賞」を受賞している。


今回、「アジア太平洋地域の災害対策やインフラ整備など数多くのプロジェクトを通じて、同地域の経済・社会へ大きく貢献したこと」が評価され、受賞の運びとなった模様。授賞式は23日、マレーシアで行われた。NTTデータとRESTECは、「地理空間情報の利用拡大、市場創出に寄与していきたい」としている。


詳細はNTTデータなどの発表を参照。
NTTデータ「おしらせ

2017年9月4日月曜日

キヤノン電子、衛星機体、衛星画像販売に参入へ。自社衛星の撮像データを公開。

キヤノン電子は先月28日、同社が開発した超小型衛星「CE-SAT-1」の撮像データを公表した。今年6月23日にインドのPSLVロケットで打ち上げられ、高度505Kmの軌道投入に成功していた。今回、キヤノン電子は、CE-SAT-1撮像データの公表に併せ、衛星機体や衛星画像データの販売などに取り組んでいくことを明らかにしている。



CE-SAT-1の観測画像
(C)キヤノン電子株式会社
出典:キヤノン電子株式会社「第79期中間報告書」より


公表は、キヤノン電子の「第79期中間報告書」の一環として行われた。キヤノン電子は宇宙関連分野を「新規事業」として取り組んでおり、現在行っているCE-SAT-1の実証実験を「本格的な事業化に向けたスタート」(同社酒巻代表取締役社長)としている。今後、2年間にわたりCE-SAT-1による地上撮影などの実証テストに取り組み、衛星本体や衛星画像、衛星主要部品の販売などを進めていく予定。


今後、軌道上のCE-SAT-1とキヤノン電子赤城事業所との間で朝夜の1回ずつ、通信を行うという。キヤノン電子は今回のCE-SAT-1の打ち上げ・撮像成功などを受けて、「引き続き、キヤノン電子の宇宙事業への取り組みにご期待下さい」としている。


詳細はキヤノン電子の「中間報告書」を参照。
キヤノン電子「第79期中間報告書

関連記事
キヤノン電子ほか4社、商業打上げ輸送サービスに参入へ。企画会社を新設。

チェンジ、JAXAからモバイルアプリケーション管理機能導入に向けた物品・サービスを受注。1,345万円で。

モバイル端末やクラウドの導入支援等を行うチェンジが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)からモバイルアプリケーション管理導入に向けた物品・サービスを受注したことが、1日までに分かった。1日にJAXAが開札した入札により、チェンジが「モバイルアプリケーション管理機能導入に関わる調達」を1,345万円で受注したことが明らかにされている。



今回チェンジが受注した内容は、入札公告などによれば、JAXAに対し物品の販売とサービスの提供をパッケージで行うものとみられる。入札の結果、予定価格に達した応札が存在しなかったため、チェンジを相手として随意契約の交渉を行った模様。


詳細はJAXAのJAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報

大和リース、種子島宇宙センターにおけるプレハブ会議室整備を受注。615万円、JAXAの入札で。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4日、種子島宇宙センターにおける吉信燃焼試験会議室の賃貸借に関する入札結果を公表した。JAXAが公表した入札結果によれば、大和リースが615万円で落札している。



今回JAXAは、燃焼試験に供する会議室として、プレハブ1棟などの賃貸借を求めていた。賃貸借期間は来年3月末までを予定している。

詳細はJAXAのJAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報

関連記事
JAXA、種子島宇宙センターでプレハブ会議室を調達。「燃焼試験会議室」として使用。

2017年9月3日日曜日

【平成30年度概算要求】サイバーセキュリティ強化に向けて衛星通信の量子暗号化を研究開発。(総務省)

平成30年度概算要求で計上された各府省の計上内容を、新規事項を中心に紹介する。総務省は衛星通信における量子暗号技術の研究開発に3.1億円を計上した。サイバーセキュリティの強化やICTの安心・安全の確保一環として取り組みたい考え。今後、各府省の計上した概算要求をもとに、財務省による査定が行われ、政府予算案がまとめられる見通し。



今回、総務省は、世界的な人工衛星利用の需要拡大と、衛星通信に対するサイバー攻撃防止に向けて、秘匿性の高い衛星通信を実現する技術の研究開発に取り組むため、衛星通信における量子暗号技術を新規事項として概算要求に計上した。研究開発した技術を国際標準化することで、国際競争力の強化も狙う。


量子通信に成功した超小型衛星「SOCRATES」
出典:NICTウェブサイトより


総務省が運営費交付金などを要求している情報通信研究機構(NICT)は今年7月、世界で初めて超小型衛星を用いた量子通信に成功している。エイ・イー・エス(AES)が製造した超小型衛星「SOCRATES」と東京都小金井市との間で、通信を行ったもの。NICTは、この実証実験を通じて「従来の衛星光通信より更に高効率な通信や情報漏えいを完全に防ぐ量子暗号の基盤技術」としている。


詳細は総務省の概算要求関連資料を参照。

2017年9月2日土曜日

【平成30年度概算要求】衛星データの利用拡大進める。オープン&フリー化、データ統合と小型ロケット開発で多面的に取り組む。(経産省)

平成30年度概算要求で計上された各府省の計上内容を、新規事項を中心に紹介する。経済産業省は2030年代早期までの宇宙産業の市場規模倍増を目指すとして、データのオープン&フリー化などを進める。また、衛星データ利用拡大の一環として小型ロケットの開発にも取り組む。今後、各府省の計上した概算要求をもとに、財務省による査定が行われ、政府予算案がまとめられる見通し。



経産省が公開している衛星画像(西之島)
出典:経産省ウェブサイト


経済産業省は2年ぶりに「経済産業政策の重点」として宇宙予算を掲げた。衛星データのオープンフリー化施策や小型ロケットの開発など19億円を計上している。


政府が保有する衛星データを民間利用者の使いやすい形に編集・加工した形で、データを開放するため、環境整備等の事業費として13億を計上している。さらに、準天頂衛星を活用した渋滞緩和システムなど衛星と地上のデータとの統合利用に向けたシステムの整備や衛星利用の拡大に資する小型ロケットの開発にも取り組むとしている。


詳細は経済産業省の概算要求関連資料を参照。

【平成30年度概算要求】深宇宙補給技術、有人宇宙滞在技術など開発研究へ。深宇宙探査技術実証機(DESTINY+)も。(文科省)

平成30年度概算要求で計上された各府省の計上内容を、新規事項を中心に紹介する。文部科学省は、民生予算として最大となる1,950億円の航空宇宙予算を計上した。今後、各府省の計上した概算要求をもとに、財務省による査定が行われ、政府予算案がまとめられる見通し。



過年度の予算要求内容や行政事業レビューなどから、今回の文科省概算要求には宇宙航空研究開発機構(JAXA)の運営費交付金、各種補助金などが含まれているとみられる。既にJAXAが取り組んできた事業のうち、H3ロケットに340億円、先進光学衛星/先進レーダ衛星に65億円、昨年運用を断念したX千天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の代替機に45億円など、いずれも本年度予算から大幅増の金額を計上し、宇宙基本計画等で定めた打ち上げ予定に向けて研究開発を進めたい考え。


来年3月の第2回国際宇宙探査フォーラム(ISEF2)の日本開催を迎える宇宙探査関連で、新規要求が目立つ。


DESTINY+の想像図
出典:文部科学省「平成30年度 科学技術関係概算要求の概要」


宇宙工学の技術実証と流星群母天体である活動小惑星フェイトン等の探査を目指すDESTINY+には、2億円を新規事業として計上する。DESTINY+は現在、JAXAの宇宙科学研究所で検討が進められており、低コスト・小型軽量な宇宙探査技術の実証を行うことで、深宇宙(一般的に月以遠の領域を指す)への「敷居を下げる」としている。小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)と同型のイオンエンジンを搭載し、薄膜軽量太陽電池パドルや小型軽量アビオニクスなどを特徴とする。


さらに、国際宇宙ステーション(ISS)で蓄積した技術的優位性を踏まえ、「国際宇宙探査に戦略的に参画する」として、深宇宙補給技術、有人宇宙滞在技術、重力天体離着陸技術、重力天体探査技術に関する技術実証等を目的に、5億円を新規計上している。


詳細は文部科学省の概算要求関連資料を参照。
文部科学省「平成30年度科学技術関係概算要求の概要
文部科学省「平成30年度文部科学関係概算要求のポイント
文部科学省「平成30年度概算要求主要事項
文部科学省「平成30年度文部科学省概算要求等の発表資料一覧(平成29年8月)


関連記事
【速報】【平成30年度概算要求】各府省の航空宇宙予算、文科省1,950億円、防衛省887億円など計上。

2017年9月1日金曜日

JAXA、国際宇宙ステーションで魚を用いた遺伝子実験など実施へ。ゼブラフィッシュなどのNASA搬入・搬出業務を入札で調達。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、近く、国際宇宙ステーション(ISS)でゼブラフィッシュを用いた遺伝子実験などのライフサイエンス実験を実施する予定であることが分かった。少なくとも、「宇宙滞在による筋収縮メカニズムの解明」と「アルツハイマー病や糖尿病などの発症機構の解明」などを目的とした実験2件を実施するとみられる。今月1日、JAXAは、「SpaceX-13ライフサイエンス系実験に係る日米間輸送及び支援」と題し、ゼブラフィッシュなどをケネディー宇宙センターへ搬入し、ISSから回収後に日本に帰国させる輸送業務などの調達に着手した。



日本実験棟「きぼう」(JEM)
(C)NASA


JAXAが公表した調達仕様書によれば、今年11月上旬にゼブラフィッシュを格納したコンテナを5個、筑波宇宙センターからケネディ宇宙センターへ搬入する。また、来年1月上旬にはISSフライト後のゼブラフィッシュをジョンソン宇宙センターから、比較用に地上で実験したゼブラフィッシュをそれぞれ京都大学へ搬入する予定。米国行きはJAXA関係者による機内持ち込み、帰国は冷凍輸送を行う。このほか、タンパク質についても、自然科学研究機構の分子科学研究所とNASA間で同様の輸送を行う予定だ。


JAXAは、今回調達する輸送業務について、「水棲実験(瀬原テーマ)及びアミロイド実験(加藤テーマ)」に伴う輸送としている。ISSにおけるライフサイエンス実験を巡っては、平成27年度に次のテーマが採択されており、今回の実験はこれら実験テーマをISSで実施するものとみられる。


平成27年度「きぼう」利用フィジビリティスタディテーマ募集選定案件(選定された12案件中、今回実施されると思われるテーマを抜粋)
  1. ゼブラフィッシュを用いた宇宙滞在感受性遺伝子の同定とその感知機構の解明/京都大学/瀬原教授
  2. 神経変性疾患の発症機構解明に向けた微小重力環境下でのアミロイド線維形成と性状評価/自然科学研究機構/加藤教授



京都大瀬原教授の研究テーマでは、コイ科の小型魚類、ゼブラフィッシュを用いて宇宙滞在による筋肉の収縮メカニズムを解明する。これまでの宇宙実験では、ゼブラフィッシュを宇宙滞在させた結果、骨格筋の維持に関連する遺伝子に変化が見られており、この現象の原因が、遺伝子が微小重力の影響を感受したためなのか、それとも宇宙空間を飛び交う放射線(宇宙線、宇宙放射線)などの影響によるものなのかを明らかにする。


また、自然科学研究機構加藤教授の研究テーマでは、アルツハイマー病や糖尿病などの原因となるタンパク質「アミロイド線維」を、国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」(JEM)の微少重力環境下に置き、観察する。地上で予備実験を行ってきた結果、宇宙ではアミロイド線維の毒性が変化し、疾患の発生のしやすさが変化する可能性があるという。具体的には、アミロイド線維は、微小重力環境では形成が比較的遅くなると予想されることから、宇宙ステーションでアミロイドを観察することで、アルツハイマー病や糖尿病などの疾患が発症する仕組みの解明を目指す。


今回、JAXAはこれらの実験に必要なゼブラフィッシュなどをNASAとの間で往来させるための輸送関連業務を調達するとみられる。輸送関連業務の調達は履行能力の事前審査を経て、価格を競争する一般競争入札で行われる。25日までの書類提出を経て、来月5日に入札が実施される予定。実験試料は、ファルコン9ロケットで打ち上げられる米国の「ドラゴン補給船」で搬入されると見られる。


ドラゴン補給線
(C)NASA


ライフサイエンス実験の詳細はJAXAのウェブサイトを参照。
JAXA宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター「~宇宙・加齢・疾病の筋萎縮メカニズムを総合的に解析~
JAXA宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター「神経変性疾患の原因分子「アミロイド線維」の形成機構の解明~
JAXA宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター「平成27年度「きぼう」利用フィジビリティスタディテーマ募集の選定結果について
JAXA宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター「ファルコン9ロケット


ゼブラフィッシュなどの輸送関連業務の調達の詳細はJAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報

2017年8月31日木曜日

【速報】【平成30年度概算要求】各府省の航空宇宙予算、文科省1,950億円、防衛省887億円など計上。

各府省は31日までに平成30年度予算の概算要求を財務省へ提出、公表した。概算要求に計上された主な項目は次のとおり。()内は今年度予算に対する差額。



文部科学省
 H3ロケット              340億円(149億円増)
 イプシロンロケット高度化         16億円(  3億円増)
 先進光学衛星/先進レーダ衛星       65億円( 39億円増)
 技術試験衛星9号機            11億円(  3億円増)
 X線天文衛星代替機            45億円( 22億円増)
 深宇宙探査技術実証機(DESTINY)   2億円  (新規)
 新型宇宙ステーション補給機(HTV-X) 36億円( 10億円増)
 国際宇宙探査ミッションの開発研究      5億円  (新規)
 次世代航空科学技術の研究開発       37億円(  4億円増)
 ISS日本実験棟「きぼう」の運用等   116億円 (ほぼ同額)


経産省
 政府衛星のデータのオープン&フリー化
 及び利用環境整備事業費          13億円  (新規)

内閣府
 実用準天頂衛星システムによるサービス提供 79億円  (新規)
 みちびき初号機後継機の開発・整備・打上げ 77億円( 13億円)

国土交通省
 首都空港等の機能強化
 (羽田空港の飛行経路見直し等)     191億円(  1億円)
 地方空港・地方航空ネットワークの活性化
 (沖縄、福岡の滑走路増設等)      470億円(  1億円)

総務省
 衛星通信における量子暗号技術の研究開発   3億円  (新規)

防衛省
 宇宙状況監視に係る取組
 (米国やJAXAとの連携強化等)     44億円
 衛星通信の利用
(Xバンド防衛通信衛星3号機の一部整備等)730億円
 商用画像衛星・気象衛星の利用
 (超小型地球観測衛星や
  JAXAのALOS-2の利用等)   112億円

【筑波宇宙センター特別公開2017】JAXA、「日本JAXA学会」を開催へ。学会スタイルで研究開発を紹介。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は来月30日の筑波宇宙センターの特別公開におけるアトラクションとして、「日本JAXA学会」を開催する。日本JAXA学会(JAJAS)は特別公開限りで設立する架空の学会。JAXAの研究開発部門の研究者が発表する。


日本JAXA学会は初めての取組。本物の学会さながら、「学会名札」や「ポスターセッション」も用意するという。今回、JAXAは高校生以上を推奨として一般から80名程度の参加を募集する。主な発表内容は次のとおり。

セッション1 「JAXAの歴史」

  1. 宇宙機の巧みさ、そして知能
  2. 人工衛星用リチウムイオンバッテリの正負極材の結晶構造変化に伴う性能劣化とその検知手法の研究
  3. 宇宙用精密ベアリングの低摩擦・長寿命化に向けたリテーナインスタビリティの現象解明と対策


セッション2 「JAXAの未来」

  1. 衛星構造に要求される3つの「安定性」に関わる技術課題
  2. 液体ロケットエンジン燃焼器の再生冷却性能予測のための熱-流体連成解析技術の構築
  3. 軌道上での人工衛星への燃料補給ビジネスの事業性及び法的検討
  4. 越夜時の熱リーク低減を目的とした月面探査ローバへの非接触電力伝送適用に関する研究



詳細はJAXAのウェブサイトを参照。
JAXA「日本JAXA学会第一回学術講演大会
JAXA「日本JAXA学会第一回学術講演大会プログラム

JAXA、入笠山デブリ観測設備を改修。新規に実験装置を設置予定。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は30日、長野県に設置している入笠山光学観測施設における設備改修の調達に着手した。JAXAが公開した調達仕様書によれば、現行の格納設備を改修し、新たに実験設備を搬入したい考え。



JAXAによれば、入笠山光学観測施設では数十cm級の小さな未知デブリを検出する画像解析手法の確立に向けた研究開発のほか、光学望遠鏡を利用した観測システムの開発や小惑星・水星などの天体の検出も実施しているという。JAXAのデブリ観測施設としては、このほか岡山県の美星スペースガードセンター上斎原スペースガードセンターがある。


入笠山設備改修の入札は来月8日を予定している。入札参加書類の提出期限は7日17時まで。




詳細はJAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報

JAXA、無人航空機運航管理システムの研究開発に着手。有識者等による委員会を立ち上げ。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、無人航空機の運航管理システムの研究開発に向けて、有識者や企業、関係府省らで構成される委員会を立ち上げる。JAXAが研究開発を進める運航管理コンセプトやシステム設計について、有識者等の委員会を介して検討・合意形成を図りたい考えだ。



JAXAが行う運航管理システムの研究開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」の一環として実施される。NEDOが公募した研究開発業務のうち、JAXAが運行管理システムの上流段階の設計を担当している。


JAXAは、今後10年程度における無人航空機の用途・利用形態や法規制の動向を想定しながら、空域や電波の安全・効率的な利用方法やセキュリティ・プライバシー保護を含む機体や運航者の登録・認証方法等の運航管理コンセプトについて検討を具体化していく構え。検討された運航管理コンセプトからシステムの設計も行うとしている。これら運航管理コンセプト・システム設計の過程で、有識者や企業、関係府省等と連携・協力しつつ、合意形成を図るため、「推進委員会」を設立する。推進委員会は四半期に1度程度の開催頻度で、今年度は10月、12月と来年3月に開催される予定だ。


JAXAは、今回開発を目指す無人航空機の運航管理システムについて、新しい交通管理/管制の概念であるとし、対象空域における全ての機体、気象や地上構造物などの情報を収集・活用することで実現したいとしている。今後、設計に向け政府の検討や法規制等の調査を行う予定だ。


今回JAXAは推進委員会における事務局作業等の支援業務の調達に着手した。支援業務の調達は一般競争入札で行われる。来月12日の入札説明会を経て、26日正午の書類提出、10月6日の入札・開札を予定している。


詳細はJAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報

2017年8月30日水曜日

川本工業、臼田宇宙空間観測所の厨房改修作業を受注。400万円で落札。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は30日、臼田宇宙空間観測所の宿泊棟の厨房改修作業に関する入札結果を公表した。JAXAが公表した入札結果によれば、横浜市の川本工業が400万円で落札した模様。



川本工業は昭和5年創業の修繕作業・リフォームなどを専門とする企業。今回、JAXAが厨房の改修にかかる役務の提供について入札を行い、結果、400万円で川本工業が落札した形だ。


詳細はJAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報

防衛省競争的資金:JAXA極超音速技術など14課題を採択

防衛装備庁は29日、同庁の競争的資金制度「安全保障技術研究推進制度」の平成29年度分の新規採択結果を公表した。公的研究機関や大学、企業等から104件の応募があり、14課題を採択している。



安全保障技術研究推進制度
出展:防衛装備庁説明会資料




安全保障技術研究推進制度は、将来の防衛分野の研究開発に資する基礎研究を対象とした競争的資金。平成29年度で3年目を迎え、既に「塗料より軽い」電子顕微鏡レベルの構造による発色技術などの成果が創出されているという。従来の数千万円規模の研究に加え、今年度からは5年で最大20億円を投じる大型研究も採択する大幅な拡充がなされ、募集件数(104件)・採択件数(14件)ともに過去最大となった。


(参考)防衛省が公表した新規採択課題のうち、航空宇宙関連と思われる主なもの

  • 極超音速飛行に向けた流体・燃焼の基盤的技術 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
  • 無冷却タービンを成立させる革新的材料技術に関する研究 IHI
  • マルチアングル3次元ホログラフィックGB-SARによる不均質媒質内埋設物の高分解能な立体形状推定に関する研究 JAXA
  • 電気化学的手法によるCFRP接着界面域におけるエポキシ当量測定 JAXA


詳細は防衛装備庁による採択研究課題の公表を参照。
防衛省「安全保障技術研究推進制度の平成29年度採択研究課題について
防衛装備庁「平成29年度新規採択研究課題について
防衛装備庁「平成29年度安全保障技術研究推進制度応募概要
防衛装備庁「平成29年度安全保障技術研究推進制度公募説明会
防衛装備庁「安全保障技術研究推進制度

2017年8月29日火曜日

準天頂衛星「みちびき4号機」、10月10日打上げへ。

三菱重工宇宙航空研究開発機構(JAXA)は29日、H-2Aロケット36号機による準天頂衛星「みちびき4号機」の打ち上げを10月10日に予定していると発表した。種子島宇宙センターより、同日午前7時頃の打ち上げ予定。



「みちびき4号機」により、東西南北、高さ、時刻の計算に必要な4機体制が完成される。政府は4機体制の整備を通じて、来年度からセンチメートルレベルの精密な位置情報の提供を開始し、自動走行、あるいは観光アプリ、災害情報通報などの新たなビジネスチャンスの創出が期待できるとしている。


詳細はJAXAなどのプレスリリースを参照。
三菱重工・JAXAプレスリリース「H-H-IIAロケット36号機による「みちびき4号機」(準天頂衛星)の打上げについて



2017年8月28日月曜日

グアテマラ外相更迭か。訪日中、筑波宇宙センター等視察予定。

外務省は25日、グアテマラのモラレス外務大臣が、27日から29日まで訪日すると発表した。他方、NHKや共同通信などによれば、モラレス大臣が解任されたと報じられており、グアテマラ外務省のウェブページにおいても、モラレス大臣と別の人物が大臣として紹介されている。発表日時点で外務省はモラレス大臣が宇宙航空研究開発機構(JAXA)の筑波宇宙センター等を視察する予定としていた。



外務省のウェブサイトのうち、グアテマラに関するページでは、モラレス大臣の紹介が維持されている。筑波宇宙センター等の訪問目的、具体的な日時、変更の有無等は明らかにされていない。外務省は今回のモラレス大臣訪日により、「モラレス外務大臣の訪日により,我が国とグアテマラとの友好協力関係が一層強化されることが期待され」るとしていた。


詳細は外務省の報道発表を参照。
外務省報道発表「モラレス・グアテマラ外務大臣の訪日

コマツとオリックス・レンテック、ドローン事業で提携。測量業務支援サービスを提供。

小松製作所(コマツ)オリックスレンテックは25日、新たにドローン事業で提携し、「測量会社向け3次元測量業務支援サービス」の提供を開始すると発表した。オリックスレンテックがドローンなどの機材を貸し出し、コマツが計測データ3次元化などの処理を提供することで、機材調達とデータ処理をまとめて測量会社へ提供するという。


今回開始されるサービスでは、オリックスがドローンやローバといった測量機器をコマツに提供し、コマツがデータ処理ソフトウェアを添えて、測量会社へパッケージで提供する。コマツなどによれば、本サービスを通じて測量会社のドローン導入に伴う初期投資の軽減などにつなげることが期待できるという。両社は「ドローンの測量への利活用を促進することで、建設現場が抱える課題解決の一助となり、安全で生産性の高い建設現場の実現に貢献することを目指」すとしている。


詳細はコマツなどのプレスリリースを参照。
コマツ・オリックスレンテックプレスリリース「コマツとオリックス・レンテックがドローン事業で提携 「測量会社向け3次元測量業務支援サービス」提供開始

ホンダジェット、同クラスで世界最多の納品。2017年上半期。

本田技研工業(Honda)の子会社、ホンダエアクラフトカンパニーは16日、今年上半期における小型ジェット機市場で世界最多の納品を達成したと発表した。米国、カナダ、メキシコや欧州で24機を納品した。



ホンダジェットの開発責任者、藤野ホンダエアクラフトカンパニー社長は、ホンダジェットを「先進機能を搭載し、高性能で俊敏な操縦性能を実現したジェット機」とし、「空飛ぶスポーツカー」と例える。ホンダジェットは、平成27年12月から順次納品され、現在は北米や欧州のほか、中南米や東南アジアでも販売されている。


詳細はHondaのプレスリリースを参照。
Hondaプレスリリース「HondaJet、2017年上半期のカテゴリー別最多デリバリーを達成」

JAXA、プロジェクトマネジメントに関する研修を実施。企画提案を募集。予算額350万円。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は25日、プロジェクトマネジメントに関する研修の調達に着手した。350万円を上限として企画提案を募り、研修実施者を選定する予定。



今回の調達は、企画提案の競争による企画競争で実施される。企画提案書の締め切りは来月19日まで。


詳細はJAXAの公告を参照。
JAXA公告「平成29年度プロジェクトマネジメント(PM)中級研修の実施
JAXA契約・調達情報「技術提案方式・企画競争・参加者確認公募の公告/選定結果の公告

2017年8月26日土曜日

ムラヤマ、筑波宇宙センター特別公開開催支援業務を受注。214百万円で落札。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は25日、筑波宇宙センター特別公開に関する開催支援業務の入札結果を公表した。ムラヤマが214万円で落札している。



特別公開は9月30日(土)に開催予定。水ロケット工作教室や大西宇宙飛行士の講演、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」(JEM)の運用管制官の模擬体験などのイベントが予定されている。


ムラヤマは明治35(1902)年創業のイベント・ディスプレイ企画会社。過去にはビートルズ来日公演のステージを制作したほか、東京オリンピック、大阪万博、日韓ワールドカップにも参画した実績を持つ。今回の特別公開開催支援業務の入札はいったん、応札者が存在しない「入札不調」となっていたが、JAXAの再入札に対し、ムラヤマが応じ、214万円で落札した。ムラヤマの他に応札者が存在したのかは明らかにされていない。


特別公開の詳細についてはJAXAの「ファン!ファン!JAXA」などを参照。
JAXA「9月30日(土)筑波宇宙センター特別公開開催!!
JAXA「ファン!ファン!JAXA

特別公開の支援業務の調達の詳細については、JAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報


関連記事

2017年8月25日金曜日

JAXA、宇宙センター内のイノシシ捕獲を実施。280万円投じる。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)角田宇宙センター内のイノシシ捕獲に着手したことが分かった。280万円を投じて東北野生動物保護管理センターにイノシシの捕獲作業を発注している。



角田宇宙センターは宮城県角田市に所在するロケットエンジンの研究などを行うJAXA事業所。。東京ディズニーランド2個分の1.7平方kmの敷地を持つ。最寄駅から3km、最寄りのコンビニまで1km。市街地とは自衛隊駐屯地、工業団地を挟んだ形で位置し、「イノシシが駆け回り、白鳥が羽を休める豊かな自然の中」(角田宇宙センター勤務経験のあるJAXA職員)にあるという。


JAXAでは昨年度以来、角田宇宙センターにおけるイノシシ対策関連の発注が続いている。昨年夏に「イノシシの生息・被害状況調査及び危険防止対策企画」を求め、同年11月と今年6月にイノシシの捕獲作業を実施している。さらに、「イノシシ侵入対策」用に約1,900万円で事業所外周のフェンスを補強するなど、四半期に一度、イノシシ関連の入札を行っている状況だ。


今年宮城県が策定した「第三期宮城県イノシシ管理計画」で、角田市は「重点区域」21市町村の1つに指定されている。近年宮城県内のイノシシの生息分布は「確実に広がっている」とみられるが、角田市では宮城県内でもいち早くイノシシの農業被害が報告されている。平成23年時点で、宮城県内のイノシシの生息数は約2万5千頭に上る(県の推計)。


角田宇宙センターにおけるイノシシ対策関連調達
平成28年
 7月 イノシシの生息・被害状況調査及び危害防止対策企画の提案
    →135万円で東北野生動物保護管理センターが受注
11月 イノシシ捕獲他作業
    →194万円で東北野生動物保護管理センターが受注

平成29年
 1月 イノシシ侵入対策用外周フェンス補強作業
    →1,890万円で八重樫工務店が受注
 6月 イノシシ捕獲作業
    →280万円で東北野生動物保護管理センターが受注


詳細はJAXAの「契約に係る情報の公表」を参照。
JAXA「契約・調達情報

2017年8月24日木曜日

太陽観測衛星「ひので」、アメリカ横断皆既日食を観測。JAXAと国立天文台、NASA。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)自然科学研究機構国立天文台は22日、太陽観測衛星「ひので」(SOLAR-B)による皆既日食の観測画像・動画を公開した。両機関とNASAが共同で実施した。



「ひので」はJAXAの宇宙科学研究所が中心となり、国立天文台やNASA等が共同開発に参加した太陽観測衛星今回は22日のアメリカ横断皆既日食の機会に、X線望遠鏡で太陽を撮影した。JAXAと国立天文台などによれば、皆既日食は太陽コロナ観測などの貴重な機会であり、今回の観測結果については、人工衛星や地上の電子機器に影響を与える太陽風や太陽フレアの発生予測につながることが期待されるという。


詳細はJAXAなど「ひので観測チーム」による観測画像・動画を参照。
JAXAなど「太陽観測衛星「ひので」が撮影したアメリカ横断皆既日食の画像・動画を公開

2017年8月23日水曜日

JAXA、臼田後継局の空撮画像を公開。アンテナ基礎部鮮明に。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は20日、建設中の深宇宙探査用地上局(GREAT)をドローンで撮影した空撮画像をフェイスブック上で公開した。画像からはアンテナの根元にあたる基礎部の形が鮮明に読み取れ、建設の進展が伺える。JAXAによれば、残り2か月をかけて基礎工事を完成させる予定だという。



JAXAは現在、長野県佐久市の臼田宇宙空間観測所で世界最大級の64mアンテナを運用している。過去には小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)の通信を担ったことでも知られるが、老朽化対策や「はやぶさ2」(hayabusa2)で利用するKa帯への対応から、後継局の整備が求められてきた。このため、JAXAは後継局整備に向けて、衛星のプロジェクト管理に準じた「GREATプロジェクト」を設置し、後継局の研究開発・建設に取り組んでいる。


GREATは現在の64mアンテナ近傍の国有林で建設が進められている。アンテナのお椀にあたる部分の直径は54mで、現行局より小さいが、アンテナ表面の凸凹を0.6mm以下の精度とすることなどで、受信性能を維持することができるという。GREAT局の開局は平成31年度を予定している。


詳細はJAXAのフェイスブックアカウントなどを参照。
フェイスブック「JAXA 深宇宙探査用地上局
ファン!ファン!JAXA「次の宇宙探査の時代に向けて




JAXA、大樹航空宇宙実験場の設備を改修。330万円。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は18日、大樹航空宇宙実験場における光学研究用実験格納設備等の改修の入札結果を公表した。高橋工務店が330万円で受注している。

※「高」は旧字、いわゆる「はしごの高」


大樹航空宇宙実験場は地元大樹町とJAXAとの連携協力拠点。大気球実験や宇宙空間からの再突入・回収を目指した小型カプセルの落下試験などを実施する際の、気球・ヘリコプターの発進拠点として利用されている。


詳細はJAXAの「契約に係る情報の公表」を参照。JAXA「契約に係る情報の公表(平成29年度)JAXA「契約・調達情報

アクセルスペース、気象・海象観測超小型衛星の観測画像公開。北極海航路の開拓目指す。

アクセルスペースは9日、ウェザーニューズと共同開発で先月14日に打ち上げた気象・海象観測超小型衛星「WNISAT-1R」による地球観測画像取得に成功したと発表した。衛星は現在、基本的な動作確認を行う「クリティカルフェーズ」を終え、濤崎観測機器等の状況確認が行われている。



WNISAT-1Rは海氷観測の観測のほか、火山や台風の観測等を光学カメラで行う超小型衛星。重さわずか43Kg。今回アクセルスペースが公開した初観測画像では、北極海やグリーンランド沖合の海氷、台風五号などの撮像に成功していることがわかる。


WNISAT-1Rなどにより、北極海の海氷を衛星から観測することで、航路上の安全が確保され、北極海航路の実用化が期待できるという。北極海航路が実用化された場合、日欧の輸送距離はスエズ運河周りに比べ2/3に短縮される。この他、WNISAT-1Rでは台風や火山の観測、光通信の基礎技術実証実験もミッションとしている。


アクセルスペースによる動作環境終了後、衛星の運用はウェザーニューズが担当する予定。ウェザーニューズは、WNISAT-1Rの観測情報を気象・海象の予測精度向上と船舶・航空機向け運航支援サービスに活用していきたいとしている。


詳細はアクセルスペースのプレスリリースなどを参照。
アクセルスペースプレスリリース「「WNISAT-1R」ファーストライト画像を公開
アクセルスペース「WNISAT-1R
ウェザーニューズ「WNISAT-1R

ISEF2サイドイベントに向けたプレイベント開催。野村総研とJAXA。

第2回国際宇宙探査フォーラム(ISEF2)と同時開催予定の産業界向けサイドイベント「I-ISEF」に向け、プレイベントが開催されることになった。野村総研宇宙航空研究開発機構(JAXA)が主催する。



野村総研は今年4月、27百万円でISEF2サイドイベントの企画業務などを受注している。今回は二種類あるサイドイベントのうち、産業界向けに開催予定のI-ISEFに向け、パネルディスカッションなどのプレイベントをJAXAと共催する。野村総研とJAXAは、今回のプレイベントを通じて「宇宙探査ビジネスの理解促進、裾野拡大、認知度向上」につなげたい考えだ。


プレイベントは9月22日(金)17時から、野村総研の東京本社で開催される。「宇宙探査の先にある未来社会像」と題し、ATカーニーの石田プリンシパル、宇宙旅行専門会社クラブツーリズム・スペースツアーズの浅川社長らが、また「2030年の宇宙経済圏ー今求められるアクションー」と題してispaceの中村CCOなどが登壇する予定だ。先着100名までの参加としている。


ISEFは宇宙探査の重要性や国際協力の重要性等の共有を目的とした国際会議。各国の閣僚や宇宙機関の長などが参加する予定。2回目となるISEF2は来年3月に国内で開催される。


詳細は野村総研のI-ISEFプレイベントに関するウェブページを参照。


関連記事

2017年8月22日火曜日

小型月着陸実証機(SLIM)、H-IIAロケット相乗りによる打上げ検討へ。初期検討に着手。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が計画中の小型月着陸実証機(SLIM)について、H-2Aロケットの相乗りによる打ち上げを検討していることが分かった。JAXAは当初、SLIMについてはイプシロンロケットによる打ち上げを行うとしていたが、今年6月、三菱重工に対し、H-2Aロケットの相乗りの初期検討を発注した。



SLIMは日本初の月着陸実験機。JAXAの宇宙科学研究所において研究開発が行われている。開発は技術提案方式により三菱電機が受注した。


今回JAXAはH-2Aロケットの民間移転先である三菱重工に対し、SLIMのH-2A相乗りの検討を随意契約で発注。JAXAによれば、検討にはH-2Aロケットの能力等に関する技術情報が必要であり、三菱重工以外には担えないとしている。


詳細はJAXAの「契約に係る情報の公表」を参照。
JAXA「契約に係る情報の公表(平成29年度)
JAXA「契約・調達情報

JAXA、2020年代後半の低ブーム超音速旅客機開発に向け、実証機の概念検討に着手。超音速機市場の先取り目指す。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は21日、静粛超音速機に関する技術実証機の概念検討業務の調達に着手した。JAXAによれば、今後実証機の機体仕様を絞り込む上での判断材料として、検討能力を有する企業等の入札参加をもとめている。



これまでJAXAは従来より低騒音で飛行する超音速旅客機の開発につながる技術として、ソニックブーム(航空機が音速を突破した際に生じる衝撃波)を低減させる機体の設計技術の実証を目的としたD-SENDプロジェクトなどに取り組んできた。D-SENDでは、ソニックブームを低減する設計コンセプトの有効性を世界で初めて実証しており、国際民間航空機関(ICAO)におけるソニックブームの基準策定にも貢献しているという。


平成26年に文部科学省が発表した次世代航空機戦略ビジョンでは、「我が国の航空機産業が自動車産業に比肩する成長産業として発展するため」に、超音速機の研究開発に取り組みマーケットでの主導権を握る戦略が示されている。JAXAも、過去に航空技術委員会で「アジア圏を日帰り可能とする超音速旅客機の実現」を「価値ある技術」として位置づけ、「静粛超音速機」の設計技術の研究開発を進めていく認識を示している。


JAXAは、現在進める研究開発を通じて、エンジン付き機体形状における設計技術や、低騒音着陸などとの両立といった技術を実証したい考え。今回は、将来JAXAが策定する実証機案の基礎資料として、検討能力を持つ企業に対し、目標性能や主要性能、技術実証可否、プロジェクト規模や開発機関の検討を求めている。検討企業の選定は価格を評価する一般競争入札にて行われる。来月8日に入札説明会が開催され、12日までの参加申し込みを経て、21日に入札・開札が行われる見通し。


過去にJAXAが超音速実験で使用した実験機
(C)航空宇宙経済新聞


詳細はJAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報

2017年8月21日月曜日

JAXA、種子島宇宙センターでプレハブ会議室を調達。「燃焼試験会議室」として使用。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は18日、種子島宇宙センターで使用するプレハブ会議室の調達に着手した。JAXAが公開した入札公告や調達仕様書によれば、鉄骨式のプレハブを1棟借り上げ、種子島宇宙センター内に「燃焼試験会議室」を設置する予定だ。



JAXAは平成30年3月末までプレハブを借り上げる予定。調達は、価格を競争する一般競争入札で行われる。来月1日までの参加申し込み提出を経て、同4日には開札される見通し。


詳細はJAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報

国際宇宙探査フォーラムのサイドイベントが公表。若手と産業界向け2種類。

政府が主催予定の国際宇宙探査フォーラム(ISEF2)に合わせて、学生・若手社会人と産業界向けに、それぞれサイドイベントが開催されることが分かった。関係府省と宇宙航空研究開発機構(JAXA)が10日、発表した。


ISEFは宇宙探査の重要性や国際協力の重要性等の共有を目的とした国際会議。各国の閣僚や宇宙機関の長などが参加する予定。2回目となるISEF2は来年3月に国内で開催される予定。


文科省とJAXAは18歳から35歳までの学生、若手社会人らを対象に、施設見学やワークショップ、キャリア相談などのサイドイベントを開催する予定。また、産業界向けにもISEF2と同会場でイベントが開催される予定だ。


各サイドイベントの詳細は今年秋以降順次周知がなされる予定。ISEF2をめぐっては、林文部科学大臣がサイドイベントの開催を検討していることを明らかにしていた。


詳細は内閣府、文科省、経産省、JAXA連名によるプレスリリースを参照。


関連記事

JAXAシンポジウム、来月12日に開催。毛利宇宙飛行士「ふわっと’92」から25周年を記念。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、来月12日に東京都内でシンポジウムを開催すると発表した。JAXAシンポジウムとして毎年開催しているもの。今年は日本人宇宙飛行士初の宇宙活動となった「ふわっと’92」実験から25周年の節目となることから、毛利飛行士本人を来賓として招く予定。



今回JAXAは「SPACE INNOVATION -未来のその先へ-」と題し、奥村理事長からJAXAの活動内容や将来に向けた検討状況の紹介が行われるほか、現在宇宙政策委員を務める山崎宇宙飛行士や政研大角南副学長、アストロスケールのブラッカビーCCOなどを招き、「宇宙開発利用の将来展望」と題したパネルディスカッションを行う予定。


有楽町朝日ホールで午後18時30分から20時30分まで開催される。参加費は無料、先着700名までの受付としている。


詳細はJAXAのプレスリリースを参照。
JAXAプレスリリース「JAXAシンポジウム2017「SPACE INNOVATION -未来のその先へ-」開催のご案内

2017年8月19日土曜日

【速報】「みちびき3号機」打上げ成功。H-IIAロケット35号機から分離。

「みちびき3号機」を搭載したH-IIAロケット35号機は種子島宇宙センターから打ち上げられ、衛星を分離した模様。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が配信した映像などから確認された。



今年6月に公開された「みちびき3号機」
提供:内閣府宇宙開発戦略推進事務局

2017年8月18日金曜日

JAXA、種子島宇宙センター用の重油4,000キロリットルを調達。発電所需要をまかなうねらい。一般競争入札で。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は18日、種子島宇宙センター向けのA重油の調達に着手した。JAXAが公開した仕様書によれば、今年10月から3月までの下期の間に、種子島宇宙センター内の大崎発電所、大崎第2発電所などに総計4,000キロリットルの需要が見込まれるという。



今回JAXAは今年度下期分として、油槽所の利用など一定の条件を満たす業者の入札参加を求めている。事前審査を経て競争入札により契約相手方の選定を行うとしており、来月8日までの入札参加申し込みを求めている。開札は来月13日を予定している。


JAXAはこれまでも半年に一度のペースでA重油の調達を行っている。JAXAがこれまで公開した入札結果によれば、種子島宇宙センターにおけるA重油の納入価格はおむね石油市場のトレンドに連動している。


JAXAの公開した過去の入札実績より作成。
(C)航空宇宙経済新聞


詳細はJAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報

2017年8月17日木曜日

三井住友海上、「損保ビジネス最前線」として宇宙保険を特集。「保険の新たな領域に挑戦」

三井住友海上がウェブサイト上で宇宙保険を特集している。新卒採用向けの「スペシャルコンテンツ」として、損保ビジネスの最前線を取り上げたもの。スペシャルコンテンツのうち「挑戦編」として新たな領域である宇宙保険を取り上げた形だ。



コンテンツでは、人工衛星にまつわる「打上げ」や「軌道上運用」を2大リスクとして紹介し、リスク管理として損害保険への加入の必要性を解説している。三井住友海上の「宇宙保険チーム」では、人工衛星やロケットの調達段階から、顧客と人工衛星製造メーカや打上げ輸送サービス会社との契約内容をチェックしているという。調達から打上げまで通常2年がかかるところ、担当者が継続的に情報収集などに取り組む。ロンドンを中心とした宇宙保険市場を介して再保険を手配していることも明らかにしている。


三井住友海上は東京海上日動などとともに、これまでも宇宙航空研究開発機構(JAXA)イプシロンロケット全球降水観測計画(GPM)にかかる宇宙保険を受注してきた実績がある。最近は、交通広告や新聞広告などでも宇宙保険を紹介している。JAXAなどの発注する宇宙保険の受注実績を持つ保険会社としては、三井住友海上や東京海上日動の他、損保ジャパン日本興亜も参加実績を持つ。


平成28年に成立した宇宙活動法により、民間企業に対してもロケット打上げにかかる宇宙保険締結などの損害担保措置を講じる義務が課せらることとなった。また、JAXAについては、人工衛星等を打ち上げる際の必須条件として、宇宙保険を締結することがJAXA法で規定されている。


詳細は三井住友海上のウェブサイトを参照。
三井住友海上「損保ビジネス最前線 挑戦編 宇宙保険
三井住友海上「損保ビジネス最前線


関連記事
東京海上など損保各社、国際共同降水観測計画関連の宇宙保険を受注。 全球降水観測計画(GPM)に関する打上げ保険など。
東京海上など損保各社、イプシロンロケット関連保険を受注。

データ中継衛星「こだま」(DRTS)、運用終了。宇宙ステーションや地球観測衛星をつないだ15年。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9日、データ中継衛星「こだま」(DRTS)の運用を終了し、停波したことを発表した。衛星の経年劣化が進んだため、先月31日から運用停止作業を進めていた。


「こだま」は、衛星間通信技術やデータ中継運用技術の開発・実証を目的とした研究開発衛星。平成14年9月に種子島宇宙センターから打ち上げられ、翌年1月から定常運用を開始した。定常運用期間7年に対し倍以上にあたる15年間の運用の結果、衛星の経年劣化が進み、今回の運用終了に至った。


地上700Kmの衛星などと地上とで直接通信では、アンテナの可視領域に限っての通信となるため、1回10分程度と通信可能時間が限られる。静止軌道上の「こだま」が国際宇宙ステーション(ISS)や地球観測衛星と地上を中継することで、通信可能範囲が劇的に広がることになった。「こだま」は、定常運用開始から3か月間で陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)の観測データを約600TB分中継した。これは、従来JAXAの地球観測センターが30年かけて受信してきたデータ量約180TBをはるかに上回り、我が国の地球観測データ取得量を飛躍的に増加させたことが分かる。平成21年9月時点では「だいち」の観測データの98.9%が「こだま」の中継によりもたらされている。


このほか、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」(JEM)との通信を中継し、国際宇宙ステーションにおける日本独自の回線として、実験データの迅速な取得に貢献したという。


JAXAは「こだま」の後継として、「光データ中継システム」(JDRS)の開発を進めており、平成31年度の打上げを目指している。電波による中継をおこなった「こだま」と異なり、レーザー光を用いるのが特徴で、通信速度の大幅な高速化や小型化が可能になるという。


詳細はJAXAのウェブサイトを参照。
JAXA「「こだま」の運用終了について

JAXA、種子島宇宙センターで使用するダンプ車を調達。牧自動車整備工場が約350万円で受注。一般競争入札で。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は先月28日、種子島宇宙センターにおける公用車に関する入札結果を公表した。JAXAが公開した入札結果によれば、南種子町の牧自動車整備工場が約350万円で落札している。



入札は、価格以外の性能等も評価する総合評価方式で行われた。近年JAXAは環境配慮契約法に基づく「グリーン契約」の一環として、総合評価方式による自動車の調達が続いている。


詳細はJAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報

「みちびき3号機」19日14時29分に打上げへ

三菱重工宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、H-IIAロケット35号機による「みちびき3号機」(準天頂衛星システム 静止軌道衛星)の打上げを19日の14時29分に打ち上げることを発表した。



16日に公表した打ち上げ日における具体的な打上げ時刻を公表したもの。


JAXA、筑波宇宙センター特別公開の詳細を発表。水ロケットや大西飛行士講演、宇宙ステーション管制官の模擬体験も。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は17日までに平成29年度の筑波宇宙センター特別公開の詳細を公表した。JAXAの公表によれば、水ロケット工作教室や大西宇宙飛行士の講演、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」(JEM)の運用管制官の模擬体験などのイベントが開催される予定だ。



筑波宇宙センター
(C)航空宇宙経済新聞


筑波宇宙センターでは基幹ロケットや宇宙ステーション、人工衛星の研究開発・運用が行われている。今回JAXAでは、筑波宇宙センターの施設を一般に開放し、これらの研究開発・運用業務を広報する。毎年恒例の水ロケット工作教室や宇宙飛行士による講演に加え、「巨大イプシロン水ロケット打上げ」や「アンテナ選抜総選挙」、宇宙ステーションや衛星試験のVR体験が予定されている。


水ロケット工作教室や大西飛行士講演会、「きぼう」運用管制官 模擬体験コーナーなどの一部イベントはウェブサイト上での事前申し込みとなっている。受け付けは手話通訳が8月25日から、その他の対象イベントは9月1日からの受付開始予定。


詳細は「ファン!ファン!JAXA」を参照、

関連記事

SED、西之島の衛星画像を公開。陸域幅1.5Km以上に広がる。

宇宙技術開発(SED)は先月28日、西之島の最新の衛星画像を公表した。米国地質調査所が運用するランドサット8号により撮影された。最新の衛星画像によれば、西之島の陸域幅が1.5Kmを超えるサイズに拡大したことが読み取れる。



西之島の最新衛星画像
(C)宇宙技術開発株式会社


西之島周辺海域では平成25年11月に噴火が発生。同年12月には新島の形成が確認され、翌年1月には旧西之島と新島が一体化した。これまでにはパスコが衛星画像による経過観測結果を公表したほか、JAXAが台湾衛星の観測画像や航空機搭載Lバンド合成開口レーダ「Pi-SAR-L2」による観測結果を公表している。


SEDは今回公表した衛星画像のほか、赤外カラー画像、西之島周辺の推移映像などを公表している。SEDはこれまでも十州北部豪雨や熊本地震の被災地における被災前後の衛星画像や、つくば市等の30年の経年比較など衛星画像による経過比較、経年変化を公表している。


気象庁がまとめた西之島の火山活動に関する解説資料によれば、今月2日時点においても断続的な噴火が確認されており、今後も噴火が継続する可能性があるとしている。


詳細はSEDの「Landsat他衛星画像ギャラリー」を参照。
SED「「西之島最新画像(Landsat-8/OLI+TIRS)」(2014年5月26日~2017年7月28日公開)
SED「Landsat他衛星画像ギャラリー

画像の転載等についてはSEDが定める条件(http://www.sed.co.jp/sug/contents/gallery/topgallery_use_note.html)によります。


関連記事
【小笠原西之島沖噴火活動】JAXA、西之島周辺を合成開口レーダで観測。新島の表面地形が明らかに。
【小笠原西之島沖噴火活動】JAXA、西之島周辺の衛星画像地図を作成。台湾衛星から画像提供。
【小笠原西之島沖噴火活動】パスコ、新島の最新衛星画像を公開。新島と西之島がつながる。
【小笠原西之島沖噴火活動】JAXA、合成開口レーダーによる噴火活動の航空観測実施へ。航空会社の選定に着手。
【小笠原西之島沖噴火活動】パスコ、新島の形成に関する衛星画像を公開。陸地の拡大、鮮明に。

2017年8月16日水曜日

JAXA、電通の競争参加資格を停止。労基法違反を受け、文科省の措置に連動。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が先月中旬から電通の競争参加資格を停止していることが分かった。JAXAによれば、昨年12月に書類送検された同社の労働基準法違反を受けて文部科学省が講じた指名停止措置に準じたとしている。指名停止期間について現時点では明記されていない。



競争参加資格が停止された場合、競争入札や企画競争などへの参加が制限されることになる。JAXAが公表している競争参加資格停止規定によれば、文部科学省が指名停止措置を講じた場合、連動することとしている。


近年JAXAは、「「きぼう」を利用した社会課題の解決を目指すアイデア提案」の採択結果に基づくロボット宇宙飛行士キロボの開発や国際宇宙ステーション(ISS)に関する広報・普及活動の検討などを電通に発注している。


詳細はJAXAの契約・調達情報を参照。

JAXA「競争参加資格停止業者一覧(平成29年度)
JAXA「競争参加資格の停止について
JAXA「契約・調達情報

JAXA、ロケット関連回線網の調達に着手。筑波宇宙センター等とメーカを結ぶ。一般競争入札で。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は16日、筑波宇宙センター等と国内のロケットメーカを結ぶ回線網の調達に着手した。今回JAXAは、平成29年10月から平成34年9月末までの間、筑波宇宙センターや相模原キャンパスと三菱重工の名古屋航空宇宙システム製作所名古屋誘導推進システム製作所など国内メーカの各拠点を結ぶ回線を借り上げる契約を締結する。合わせて内之浦宇宙空間観測所と種子島宇宙センターやIHIエアロスペースの富岡事業所を結ぶ回線も借り上げる。



今回JAXAは、関係各所を結ぶ回線について、5年分の借り上げ契約を一般競争入札により調達する。入札の参加に当たっては来月1日までの書類提出が求められている。入札は来月5日までに行われ、即日開札される見込み。


種子島宇宙センター(遠景)
(C)航空宇宙経済新聞


詳細は、JAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報