宇宙航空研究開発機構(JAXA)が沿岸漁業における海況情報(海水温などの海洋の状況に関する情報)の利用実態などを調査することが分かった。6日、JAXAは調査会社の選定に向けて、一般競争入札による調達に着手した。今年度の打ち上げ予定としている気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)で取得したデータを沿岸漁業での活用につなげるため、基礎情報を獲得する狙いがある。
JAXAの調達仕様書によれば、今年度打上げる「しきさい」により、250m~1Km級の水温情報や水色情報の取得が可能となり、これら「しきさい」が観測したデータにより、シラス漁やサワラ引網漁などの操業効率化、赤潮被害の軽減などへの貢献が期待できるという。
「しきさい」をはじめとする人工衛星から取得した情報が、海況の把握や漁場の推定に活用できることについては過去、政府の総合海洋政策本部でも取り上げられるなど、期待が寄せられている。JAXAも、水産資源の減少や魚価安、燃油高などの沿岸漁業を取り巻く状況から、操業効率化に活用できる衛星情報への期待が大きいととらえている。その一方で、実際の沿岸漁業では衛星情報は「あまり利用・普及が進んでいない」(JAXA)という。
今回JAXAは、沿岸漁業におけるニーズを的確に把握することを目的として、「しきさい」打上げ後の観測データの利用を進めるための基礎情報を収集したい考え。北海道や東北を中心に、主として太平洋側の沿岸漁業者に対しヒアリングすることで、海況情報の活用状況や将来的な活用見込み、衛星への期待度などを把握する。対象となるのは、定置網、沿岸はえ縄、刺網、オキアミ漁、シラス漁、養殖など。このほか、海況を利用していない漁業協同組合等20団体以上に対してアンケートを行い、今後の衛星観測データの利用可能性も検討する。これらの調査のため、調査会社を一般競争入札で選定する予定だ。
今回の入札について、JAXAは今月20日に説明会を開催する予定。28日までに必要書類を受け付けたうえで、来月4日には入札・開札が行われる見通し。
詳細は、JAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム」
JAXA「契約・調達情報」
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