宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9日、データ中継衛星「こだま」(DRTS)の運用を終了し、停波したことを発表した。衛星の経年劣化が進んだため、先月31日から運用停止作業を進めていた。
「こだま」は、衛星間通信技術やデータ中継運用技術の開発・実証を目的とした研究開発衛星。平成14年9月に種子島宇宙センターから打ち上げられ、翌年1月から定常運用を開始した。定常運用期間7年に対し倍以上にあたる15年間の運用の結果、衛星の経年劣化が進み、今回の運用終了に至った。
地上700Kmの衛星などと地上とで直接通信では、アンテナの可視領域に限っての通信となるため、1回10分程度と通信可能時間が限られる。静止軌道上の「こだま」が国際宇宙ステーション(ISS)や地球観測衛星と地上を中継することで、通信可能範囲が劇的に広がることになった。「こだま」は、定常運用開始から3か月間で陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)の観測データを約600TB分中継した。これは、従来JAXAの地球観測センターが30年かけて受信してきたデータ量約180TBをはるかに上回り、我が国の地球観測データ取得量を飛躍的に増加させたことが分かる。平成21年9月時点では「だいち」の観測データの98.9%が「こだま」の中継によりもたらされている。
このほか、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」(JEM)との通信を中継し、国際宇宙ステーションにおける日本独自の回線として、実験データの迅速な取得に貢献したという。
JAXAは「こだま」の後継として、「光データ中継システム」(JDRS)の開発を進めており、平成31年度の打上げを目指している。電波による中継をおこなった「こだま」と異なり、レーザー光を用いるのが特徴で、通信速度の大幅な高速化や小型化が可能になるという。
詳細はJAXAのウェブサイトを参照。
JAXA「「こだま」の運用終了について」
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