2017年9月2日土曜日

【平成30年度概算要求】深宇宙補給技術、有人宇宙滞在技術など開発研究へ。深宇宙探査技術実証機(DESTINY+)も。(文科省)

平成30年度概算要求で計上された各府省の計上内容を、新規事項を中心に紹介する。文部科学省は、民生予算として最大となる1,950億円の航空宇宙予算を計上した。今後、各府省の計上した概算要求をもとに、財務省による査定が行われ、政府予算案がまとめられる見通し。



過年度の予算要求内容や行政事業レビューなどから、今回の文科省概算要求には宇宙航空研究開発機構(JAXA)の運営費交付金、各種補助金などが含まれているとみられる。既にJAXAが取り組んできた事業のうち、H3ロケットに340億円、先進光学衛星/先進レーダ衛星に65億円、昨年運用を断念したX千天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の代替機に45億円など、いずれも本年度予算から大幅増の金額を計上し、宇宙基本計画等で定めた打ち上げ予定に向けて研究開発を進めたい考え。


来年3月の第2回国際宇宙探査フォーラム(ISEF2)の日本開催を迎える宇宙探査関連で、新規要求が目立つ。


DESTINY+の想像図
出典:文部科学省「平成30年度 科学技術関係概算要求の概要」


宇宙工学の技術実証と流星群母天体である活動小惑星フェイトン等の探査を目指すDESTINY+には、2億円を新規事業として計上する。DESTINY+は現在、JAXAの宇宙科学研究所で検討が進められており、低コスト・小型軽量な宇宙探査技術の実証を行うことで、深宇宙(一般的に月以遠の領域を指す)への「敷居を下げる」としている。小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)と同型のイオンエンジンを搭載し、薄膜軽量太陽電池パドルや小型軽量アビオニクスなどを特徴とする。


さらに、国際宇宙ステーション(ISS)で蓄積した技術的優位性を踏まえ、「国際宇宙探査に戦略的に参画する」として、深宇宙補給技術、有人宇宙滞在技術、重力天体離着陸技術、重力天体探査技術に関する技術実証等を目的に、5億円を新規計上している。


詳細は文部科学省の概算要求関連資料を参照。
文部科学省「平成30年度科学技術関係概算要求の概要
文部科学省「平成30年度文部科学関係概算要求のポイント
文部科学省「平成30年度概算要求主要事項
文部科学省「平成30年度文部科学省概算要求等の発表資料一覧(平成29年8月)


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