2013年8月31日土曜日

JAXA、イプシロンロケットの打上げ中止に関する原因究明状況を発表。地上設備の動作が想定より0.07秒早かったことが原因か。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は30日、イプシロンロケットの打上げ中止に関する原因究明の状況について発表した。JAXAの発表内容によれば、現時点で判明している原因として、LCSと呼ばれる地上設備の動作が、想定よりも約0.07秒早かったため、発射19秒前で打上げ手順が自動停止されたことが挙げられている。



LCSとは、イプシロンロケットの点検や打上げを制御、モニタリングする装置。発射場から2km離れたイプシロン管制センターに設置されている。LCSはロケットの姿勢監視にも使用する装置で、発射20秒前からロケット本体が計算する姿勢データを受信する手順だった。


27日の打上げでは、このLCSの動作が約0.07秒早かったため、ロケット本体が姿勢データの算出を開始する前に、姿勢監視が開始された。ロケット本体からLCSへ姿勢データが送信されるよりも早く、LCSが姿勢監視機能を作動させた結果、「姿勢異常」が誤検知されて打上げ手順が自動停止されたことが明らかとなっている。


JAXAは、イプシロンロケットの打上げに先立って、リハーサルなどを実施し、打上げ手順が計画通り進行するか確認してきた。にもかかわらず、LCSが0.07秒早く動作することの問題点に気づかなったことについて、JAXA側は「約0.07秒の微小なずれまでには思いが至らなかった」としている。


詳細はJAXAが公開した記者説明会資料を参照。
JAXA記者説明会資料「イプシロンロケット試験機 打上げ中止の原因究明状況について


参考記事
イプシロンロケット、打ち上げ中止。発射直前にロケット本体が自動停止。


※9月4日、タイトルの誤記を修正いたしました。

東大衛星、福島第一原発とチェルノブイリ原発の観測へ。日本・ウクライナ外相会談で言及。

外務省は26日、岸田外相のウクライナ訪問における外相会談の模様を発表した。ウクライナのコジャーラ外相と岸田外相は、26日、1時間程度の会談を通して、両国の原発事故対応に関する協力などについて協議を行った。外務省の発表では、東大とウクライナ宇宙庁などが進める、福島第一原発とチェルノブイリ原発に対する共同観測プロジェクトについて、両国政府が支援していく方針で一致したことが明らかにされている。



福島第一とチェルノブイリの共同観測プロジェクトは、東大とウクライナの宇宙庁や科学アカデミーが中心となり進めている取り組み。東大が開発中の衛星を中心に、計8機の超小型衛星を打上げ、両原子力災害被災地の観測を行う計画だ。今回の外相会談では、同プロジェクトを「両国の原発事故後協力の象徴」として、成功に向け両国政府で支援していくことで一致した。


詳細は外務省の発表を参照。
外務省発表「日・ウクライナ外相会談(概要)」

2013年8月30日金曜日

文科省、宇宙科学技術の推進に係る委託テーマを選定。衛星を用いた早期津波警戒システムの開発など10テーマ。

文部科学省は22日、平成25年度の宇宙科学技術の推進に係る委託テーマの選定結果を発表した。同省が4月から公募していた宇宙科学技術推進調整委託費への応募から、10テーマの委託が決定した形だ。準天頂衛星「みちびき」技術試験衛星8型「きく8号」(ETS-8)を用いたGPS津波計による早期津波警戒システムの開発や小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)に関連した宇宙探査体験学習教材の開発など、10テーマが採択されている。



文科省は、平成21年度から「人工衛星に係る潜在的なユーザーや利用形態の開拓等を推進する新たな仕組み」として、宇宙科学技術推進調整委託費による産学などへの委託に取り組んできた。今年度の委託先については、4月から公募を実施し、書面と面接による審査により、選定作業を進めてきた。公募は、宇宙科学技術の新たな利用方法に係る「宇宙科学技術利用促進プログラム」と教材開発、実験機会の提供などに係る「宇宙航空科学技術人材育成プログラム」の2分野について実施され、合計で63件の応募があった。


今後、採択されたそれぞれの委託先に対し、最大3年間で6000万円の委託費が投入される見通しだ。文科省は10月中に委託先と契約を締結し、開発事業に着手する計画を明らかにしている。


文部科学省 平成25年度宇宙科学技術推進調整委託費の採択課題

宇宙科学技術利用促進プログラム―――宇宙科学技術の新たな利用方法を開発を目指す

「みちびき」と「きく8号」を用いたGPS津波計による早期津波警戒システム(高知工専)
損害評価効率化のための農業共済保険制度への衛星データの社会実装(千葉大)
宇宙飛行士の安全な長期宇宙滞在を可能にする機能性宇宙食の開発(徳島大)
食糧安全保障に向けた衛星入力を活用した環太平洋域での広域収量推定および短期予測の試み(千葉大)
大規模穀倉地帯における土壌劣化マッピング手法の確立と情報提供ソフトウエアの開発(東京大)


 宇宙航空科学技術人材育成プログラム―――教材開発、実験機会の提供などを実施する

球形立体表示システムを用いた宇宙地球教育プログラムの発展的開発と実施(京都大)
「宇宙観測を支える情報技術とエンジニア」についての教材の開発とパッケージ化(企業教育研究会)
「はやぶさ」の成果を活かす宇宙探査体験学習教材の開発と実証(宇宙技術開発)
科学衛星データを活用した宇宙天気研究成果の社会発信と人材育成(京都大)
大学院の国際連携による衛星リモートセンシングの人材育成(山口大)


詳細は文科省の発表などを参照。
文科省報道発表「平成25年度宇宙科学技術推進調整委託費の採択課題の決定について
文科省報道発表別紙「採択課題
文科省報道発表「平成25年度宇宙科学技術推進調整委託費の公募について

2013年8月29日木曜日

JAXA、イプシロンロケットの再打上げに関する見通しを発表。8月中の再打上げは困難。

27日に打上げが中止されたイプシロンロケット試験機について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は28日、最新の見通しを発表した。発射直前に発生した自動停止について、原因の調査を行うため、8月中の再打上げは困難な見通しだ。



今回のイプシロンロケットの打上げ中止について、JAXAは、「慎重を期して今後の原因調査作業、対策確認等を行っていく」姿勢を明らかにしている。再打上げの予定について、現時点では具体的な情報は示されておらず、「わかり次第」続報がリリースされる見通し。


詳細はJAXAの発表を参照。
JAXA発表「イプシロンロケット試験機 打上日再設定の見通しについて


関連記事
イプシロンロケット、打ち上げ中止。発射直前にロケット本体が自動停止。

2013年8月27日火曜日

イプシロンロケット、打ち上げ中止。発射直前にロケット本体が自動停止。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、27日に予定していたイプシロンロケットによる惑星分光観測衛星(SPRINT-A)の打上げについて、中止を発表した。発射予定時刻の13時45分まで準備作業を進めていたものの、カウントダウン中にロケット本体が姿勢異常を検知し、打上げ19秒前に自動停止したことが明らかにされている。



詳細はJAXAのプレスリリースを参照。
JAXAプレスリリース「イプシロンロケット試験機による 惑星分光観測衛星(SPRINT-A)の打上げ中止について

2013年8月26日月曜日

肝付町観光協会、「イプシロンの里弁当」を販売。

イプシロンロケットの打上げが予定されている、内之浦宇宙空間観測所のおひざ元、肝付町の観光協会は、イプシロンロケットにちなんだ弁当を販売している。「イプシロンの里弁当」と名付けられた弁当には同町で夏の野菜として親しまれている「つるむらさき」など、地場の食材が使用されている。





肝付町観光協会が公開した「イプシロンの里弁当」
肝付町観光協会が公開した「イプシロンの里弁当」
同観光協会のウェブサイトより引用。


肝付町観光協会では、今年6月から「食のまちおこし」の一環としてイプシロンの里弁当の検討を開始。町、観光協会、地元業者の間で話し合い、町長やJAXA職員などを交えた試食会を行うなど、イプシロンの里弁当の開発に取り組んできた。


同町の観光協会が明らかにしたところによれば、イプシロンの里弁当は季節ごとにレシピを変えていく計画で、今回開発が完了したのは「夏の野菜バージョン」。地元で夏の健康野菜として親しまれている「つるむらさき」などが使用されている。


販売価格は1100円で、事前予約制。注文は4人前から。


詳細は肝付町観光協会のウェブサイト、ブログなどを参照。
肝付町観光協会「イプシロンのお弁当
鹿児島県肝付町観光協会 肝付町から日日是好日「イプシロンの里弁当プロジェクト最終決戦!

イプシロンロケットの打上げ時刻決定。27日13時45分、内之浦宇宙空間観測所から。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は25日、惑星分光観測衛星(SPRINT-A)を搭載したイプシロンロケットの打上げについて、発射時刻を発表した。27日昼に、内之浦宇宙空間観測所からの打上げを計画している。



JAXAでは当初、イプシロンロケットの打上げを22日に予定していたが、打上げ準備作業の過程で、地上の信号中継装置に配線の誤りが確認されていたため、27日に延期する旨を明らかにしていた。今回の打上げ時刻の確定を受け、イプシロンロケットの特設サイトでは、インターネットによるライブ中継の放送時刻も発表されている。ライブ中継の放送開始は、打上げ20分前の13時25分から開始される予定。


詳細はJAXAのプレスリリースを参照。
JAXAプレスリリース「イプシロンロケット試験機による惑星分光観測衛星(SPRINT-A)の打上げ時刻について


関連記事
イプシロンロケット、打上げ延期。地上系との配線不適合が原因で。
東京海上など損保各社、イプシロンロケット関連保険を受注。
H-2Bロケット及びイプシロンロケット打ち上げへ 

2013年8月25日日曜日

リモート・センシング技術センター、桜島周辺の衛星画像公開。鹿児島市方面への噴煙流出鮮明に。

リモート・センシング技術センターは21日、米ランドサット8号による桜島周辺の衛星画像を公開した。18日の爆発的噴火により、鹿児島市方面へ噴煙が流れていることが衛星画像からも確認できた形だ。



今回、財団が公表したのは米国のランドサットが噴火翌日の19日に撮影した画像など。合わせて今年4月時点の画像も公表しており、これらを比較すると桜島から西方の市街地に噴煙が流れている様子が確認できる。


ランドサット8号は米国NASAなどが開発した地球観測衛星で、これまでのランドサットシリーズと一貫性を持った観測を行うことを目的としている。今回の画像公開に際して、財団側は「40年にわたるヒートアイランドの経年変化や土地被覆分類図などを作成する」ことが可能であるとして、ランドサット画像の取得による効果をアピールしている。


詳細は財団のプレスリリースを参照。
リモート・センシング技術センタープレスリリース「桜島の噴火後の衛星画像公開について

2013年8月23日金曜日

三菱航空機、MRJの開発スケジュールを延期。初飛行は2015年春に。

三菱航空機は22日、国産ジェット旅客機MRJの開発スケジュールを延期すると発表した。同社の発表によれば、初飛行は2015年第2四半期に、初号機納入は2017年と1年半ずれ込む見通しが明らかにされている。



これまで三菱航空機は、今年度第3四半期の初飛行を目指し、MRJの開発を進めていた。MRJをめぐっては、すでにオプションを含め325機分の受注がある。


詳細は三菱航空機のプレスリリースを参照。
三菱航空機プレスリリース「MRJの開発スケジュールについて

2013年8月22日木曜日

JAXA低ソニックブーム試験機、飛行コースから逸脱。低ソニックブーム機の衝撃波計測に世界で初めて成功するも、試験機が想定経路から逸れて落下。D-SEND♯2第一回試験。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、16日にスウェーデンで実施した低ソニックブーム無人試験機の飛行試験結果を発表した。発表によれば、試験機が想定経路から逸れて落下したことが明らかにされている。今回の試験結果を受け、予定されていた二回目の飛行試験は延期される見通しだ。



今回の飛行試験は、将来の超音速旅客機に向けたソニックブーム計測を目的とした、「D-SEND♯2」プロジェクトの第一回目の試験。16日にスウェーデンのエスレンジ実験場で無人の試験機を高度約30kmから投下したものの、飛行中の試験機が制御不能に陥り、計画していた飛行経路から逸れて落下したことが判明している。


JAXAは、調査・対策チームを立ち上げ、試験機が想定飛行経路から外れた原因の究明を進めている。計画していた条件とは異なるものの、ソニックブームの計測データには成功している。JAXAによれば、低ソニックブーム機のソニックブーム計測は世界初の事例。


今回の試験結果を受けて、予定されていたD-SEND♯2の第二回試験は延期された。なお、試験機は実験エリア内に落下していることが確認されており、現時点では人的・物的被害の報告はない。JAXAは機体の回収作業を進めている。


D-SEND♯2実験経過概要(時間は全て日本標準時。JAXAの発表に基づく)
16日19時55分:上空29.6kmの気球から試験機を分離。分離時の気象、機体の姿勢は正常。
分離37秒後:試験機の 引き起こし開始。この時点で試験機は高度約23km上空をマッハ約1.2で飛行。
分離40秒後頃: 試験機が振動。高度約22km,、マッハ約1.3。
分離62秒後: 制御不能に陥る。高度約14km, マッハ約1.6。
分離120秒後頃:計測システムが試験機のソニックブームを計測。
分離170秒後頃: 機体姿勢が回復。
分離181秒後: JAXAが投棄コマンド送信。
分離220秒後頃: 試験機が実験エリア内に着地。


詳細はJAXAが発表したプレスリリースなどを参照。
JAXA「D-SEND♯2最新情報
JAXAプレスリリース「低ソニックブーム設計概念実証プロジェクト第2フェーズ試験(D-SEND#2)延期について
JAXA「D-SEND♯2 1回目試験結果について

2013年8月21日水曜日

NICT、超高速インターネット衛星「きずな」による車両間通信ソフトウェアを発注へ。大規模災害時に消防回線を提供。

情報通信研究機構(NICT)は19日、超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)を利用した車両間通信システムの調達に着手した。調達される通信システムは、大規模災害時に出動する緊急消防援助隊などの車両に対する通信回線の提供を目的としたもの。



今回NICTが調達するのは、地上の車載通信設備と軌道上の衛星を利用する車両間通信用ソフトウェアの開発。NICTが東北大構内に設置した通信機材などを利用した通信基盤の検証作業を通して、ソフトウェア開発を行うことが求められている。


NICTは、本ソフトウェアの開発を通して、大規模災害時における緊急消防援助隊への通信回線の提供を目指すとしている。緊急消防援助隊とは、地方自治体の消防組織で構成される相互援助組織。大規模災害時で被災した都道府県内の消防力では対応が困難な場合に、国家規模の救助活動を迅速に行うため、臨時編成された援助部隊を投入する仕組みだ。NICTが公表した公告によれば、本ソフトウェアは、緊急消防援助隊の車両が、現場の状況を本部や他の救助組織に情報を伝達する通信回線を提供するためのもの。調達は、競争参加者を公募する方式により行われる見通し。


詳細はNICTの広告を参照。
NICT調達情報「超高速インターネット衛星「きずな」を用いた車車間通信用ソフトウェア開発
NICT「調達情報

2013年8月20日火曜日

茨城空港、ミャンマー便の誘致に成功。首都ヤンゴン国際空港から週3便。

茨城県とミャンマー国際航空は19日、ヤンゴン-茨城便の就航について合意した。茨城県の発表によれば、年内を目途に、週3便の運航を開始する見通しだ。



茨城空港においては、既に中国籍LCCの春秋航空が定期便を就航させている他、国内LCCのスカイマークなどが国内線定期便を運用している。今年度4月には「リニューアルオープン」として、コンビニの新設や既存店舗の改装を実施し、構内設備を充実させている。


今回、茨城県とミャンマー国際航空は、就航に関する覚書を締結し、ヤンゴン-茨城便就航に合意した。ミャンマー国際航空のキン会長が19日に茨城県庁を訪問し、覚書の調印式が開催された。誘致成功について、茨城県知事は、「今後できるだけ早く初便が運航され、それがミャンマーの発展に大きく寄与していくことを願う」旨のコメントを発表している。


詳細は茨城県などの発表を参照。
茨城県「ミャンマー国際航空によるプログラムチャーター便の運航について基本合意しました
茨城空港「ミャンマー国際航空によるプログラムチャーター便の運航について基本合意しました

JAXA、月着陸探査機に地震計搭載を検討。「かぐや」後継機の搭載候補機材。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は19日、月周回衛星「かぐや」(SELENE)後継機の搭載機器として、地震計を候補としている旨を明らかにした。月着陸探査機(SLENE-2)の研究開発に関連する調達の公告において明記されている。



今回、調達手続きが行われたのは、「かぐや」後継機用の地震計に関する概念検討。地震計に関するキー技術について、試作と実現性の評価などを民間事業者に求める内容だ。


JAXAが公表している組織図からは、8月2日現在、SELENE-2のプロジェクト化は確認できていない。一方、同機構の月・惑星探査プログラムグループが設けたSELENE-2の紹介ページでは「2010年代中頃までの実施を希望」するとして、SELENE-2を通して月の地中観測や将来的な月面基地建設に資する月面探査などの構想を明らかにしている。


詳細はJAXAの公告を参照。
JAXA公告「月着陸探査機SELENE-2広帯域地震計の検討
JAXA契約・調達情報「参加者確認公募の公告

2013年8月19日月曜日

リージョナルLCC開設目指すリンク、客室乗務員の採用に着手。

リンクは16日、客室乗務員の募集を開始した。現在、国交省に申請している航空運送事業許可の認可を見越してのもの。



同社が公表した採用情報によれば、今回募集されるのは「客室乗務員業務およびこれに付随する関連業務」に従事する契約社員。客室乗務のみならず、機内清掃や地上業務なども業務内容に含まれるもの。30日まで志願者を募集した上で、選考活動を実施する見通しだ。


詳細はリンクの採用情報を参照。
リンク「採用情報


関連記事
リンク、航空運送事業許可を申請。日本初のリージョナルLCC就航目指す。

2013年8月18日日曜日

国土交通省、ボーイング787などに搭載の救命無線機について、点検を指示。エチオピア航空機火災を受け。

国土交通省航空局は16日、国内の航空会社に対し、ハネウェル社製の救命無線機(ELT)について点検を実施するよう正式に指示した。先月12日に英国ヒースロー空港で発生したエチオピア航空のボーイング787型機の出火事故を受けてのもの。これに先立ち、国内航空会社は同ELTの自主点検を実施している。



7月12日、ヒースロー空港で駐機中のボーイング787型機から出火した事故を巡っては、英国当局が同機に搭載されていたELTのリチウムマンガン電池について危険性を報告している。これを受け、米国連邦航空局(FAA)、国土交通省などは航空会社に対し、787型機に搭載されたハネウェル社製ELTの点検ないし撤去を行うよう指示している。


今回、国交省が指示したのは、787型機以外の航空機も含めた点検指示。対象となる航空機は70機以上に上る。


我が国における点検措置対象機
ボーイング737系  1機
ボーイング747系  4機
ボーイング767系 21機
ボーイング777系 13機
ボーイング787系 30機(※うち8機はELTを撤去)
エアバスA320系 13機


詳細は国交省報道発表を参照。
国土交通省報道発表「ハネウェル社製航空機用救命無線機に対する耐空性改善通報の発行について
国土交通省航空局「ハネウェル社製航空機用救命無線機に対する耐空性改善通報の発行について
国土交通省航空局「ハネウェル社製ELTに対する耐空性改善通報に関する経緯

2013年8月17日土曜日

NTN、英ロールス・ロイスから新型エンジン向け軸受を受注。

ベアリング大手のNTNは15日、英ロールス・ロイス社から新型エンジン向けの軸受について、受注に成功したと発表した。今回の受注は、ロールス・ロイス社がエアバスA350向けに製造する新型ジェットエンジン「Trent XWB」向けに搭載される軸受に関するもの。今後、三重県とフランスのNTN系列工場で量産される計画だ。



A350は来年から商用飛行が予定されているエアバス社の中型旅客機。燃費性能や静粛性の大幅な向上が期待されており、既にロールス・ロイス製エンジンの採用が決定している。今回NTNが受注したのは、このエンジン向けの量産契約。


NTNは、航空エンジンやロケットエンジンなどに使用される航空宇宙用軸受について、実績がある。三重県の同社桑名製作所、及び連結子会社NTN-SNRのアルゴネ工場に航空宇宙用軸受専用の生産設備を保有している。今回受注した軸受についても、これら2工場で製造する計画が明らかにされている。受注成功に関し、NTN側はプレスリリースを発表しており、「2017年には世界の主要航空宇宙関連企業向けに年間75億円の販売を目指す」として期待を表明している。


詳細はNTNのプレスリリースを参照。
NTNプレスリリース「ロールス・ロイス社向けTrent XWBジェットエンジン用軸受を量産受注

三菱商事など、ミャンマーにおける空港整備事業の優先交渉権獲得。マンダレー国際空港の改修・運営についてミャンマー政府と交渉へ。

国土交通省は12日、ミャンマーのマンダレー国際空港の改修・運営事業について、三菱商事などが形成する共同企業体(JV)が優先交渉権を獲得したと発表した。同省によれば、今後、JVとミャンマー政府との間で契約交渉が行われることが明らかにされている。交渉の結果、契約締結に成功した場合は、同JVがマンダレー国際空港の改修と運営事業を受注する見通しだ。



今回、優先交渉権が与えられたのは、旅客ターミナルの改修と30年間の空港運営業務。マンダレーはミャンマー第二の都市で、同国中部に位置する。マンダレー国際空港は、同国の国内線ハブ空港として位置付けられている。2012年の乗降客数は、国際線・国内線合わせて約58万人。


JVを構成するのは三菱商事の他、日本航空系列の商社、JALUXなど。受注に成功した場合、ミャンマー政府当局との合弁会社を通して空港運営事業を展開する計画だ。三菱商事は、今回の優先交渉権獲得について、「将来的にミャンマーでの産業活動や観光が活発化することにより、同空港の旅客需要も更に伸びる」として期待を表明している。


国交省は今回の受注交渉に対する支援の他、「引き続き海外へのインフラ展開の推進に向け取り組む」としている。また、三菱商事とJALUXは、「航空需要が増加する新興国を中心に、空港の建設から運営まで、幅広いインフラ関連事業を展開する」姿勢を明らかにしている。


詳細は、国交省の報道発表、三菱商事・JALUXによるプレスリリースを参照。
国交省報道発表「ミャンマー「マンダレー国際空港改修・運営事業」の我が国企業体による優先交渉権の獲得について
三菱商事・JALUXプレスリリース「ミャンマー マンダレー国際空港の運営事業について」(マンダレー国際空港の改修後イメージ図有り)

JAXA、次期基幹ロケットに向け種子島宇宙センターの改修検討へ。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は15日、種子島宇宙センターの吉信大型ロケット組立棟(VBA)について、次期基幹ロケットに向けた改修を検討する意向を明らかにした。VBAの設計・製造業者に対して提案を求める公告を発表している。



VBAは、三菱重工などが製造した基幹ロケットについて、種子島宇宙センターで最終組み立てを実施する設備。高さ81メートルの建屋内部で、2機のロケットを同時に整備することが可能だ。組み立て後のロケットを搬出する一枚扉は世界最大の規模で、ギネスブックにも掲載されている。


今回JAXAは、VBAの設計・製造業者に対して、次期基幹ロケットに向けたVBAの改修提案を求める調達に着手した。公告によれば、VBAの維持費削減や老朽化更新、ロケット側への要求事項などについての検討が主な内容となる見通し。


詳細はJAXAの公告を参照。
JAXA公告「吉信大型ロケット整備組立棟の再構築に係る改修検討
JAXA契約・調達情報「参加者確認公募の公告


関連記事
文科省、H-Ⅲロケットに関する政策方針を公表。打上げ能力6トン、開発費1,900億円、JAXA主体で一層の低コスト化図る。

2013年8月15日木曜日

JAXA、今年度の大気球実験を見合わせ。小型気球は19日以降に放球予定。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は14日、今年度の大気球実験について実施を見合わせる意向を表明した。6月5日に実施した「2013年度第一次気球実験」における大気球の飛行失敗を受けての判断。大気球の放球作業における不具合の原因究明などに時間を要するため、今年度中の実施を見送った旨が明らかにされている。



JAXAの宇宙科学研究所(ISAS)は、2008年から北海道大樹町において、大気球の放球を実施している。JAXA側は大気球を「飛行機より高く、人工衛星よりも低い高度に長時間にわたり滞在できる唯一の飛翔体」と位置付け、科学観測・工学実験に利用してきた。一方で、今年6月の「第一次気球実験」では、気球と搭載機器の間に設置されたロープカッターが放球作業中に誤動作したことにより、気球が送電線に絡まる事案が発生している。


このJAXA側の発表によれば、この6月の放球失敗の原因究明と対策に時間を要するため、今年度中の大気球実験を見送る判断に踏み切ったとしている。なお、小型気球による実験については見合わせず、19日からの「第二次気球実験」においても世界最薄の気球用フィルムを用いた小型気球を放球する見通しだ。


詳細はJAXAによる発表を参照。
JAXA宇宙科学研究所「2013年度第二次気球実験の実施について
JAXA宇宙科学研究所「2013年度第一次気球実験におけるB13-01実験について
JAXA宇宙科学研究所「大気球/活動内容

中部航空宇宙産業技術センター、実習用双発ジェット機の提供・運用を公募。上限額840万円で発注。

中部航空宇宙産業技術センターは7日、双発ジェット機の提供・運用について調達手続きを開始した。同財団が公表した公告、仕様書等によれば、今回の調達は、航空機開発に関する講座用に双発ジェット機を運用し、飛行中の観測データを納品するよう求めているもの。



財団では、航空機の型式証明取得に際して飛行試験を行う技術者の養成を目的として、「航空機開発関連試験評価人材養成講座」を実施している。講座は最大30人規模の受講生に対し、座学と飛行実習を行うもの。今回の調達は、この講座に対して、受注者が自ら保有する双発ジェット機を運用し、飛行データを提供する他、受講生をブリーフィング等に参加させることを内容としている。公告によれば、見積上限額は840万円であることが明らかにされている。


 詳細は財団が公表した公告、仕様書等を参照。
中部航空宇宙産業技術センター「航空機開発関連試験評価人材養成講座における実習用航空機運用に係わる公募について

リモート・センシング技術センターのサーバに不正アクセス。被害届を提出。

リモート・センシング技術センターは5日、不正アクセスを受けたことから、警察に対して被害届を提出した。不正アクセスを受けたのは、同財団の「衛星画像検索・注文システム」用サーバ。同財団が先月25日に発表した情報によれば、顧客情報が流出した可能性があるという。



「衛星画像検索・注文システム」は、同財団が陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)の画像データなどの販売に使用しているもの。財団は、先月19日までに注文システムの脆弱性を発見しており、サーバの利用を停止していた。脆弱性判明後の調査により、不正アクセスの痕跡が発見されたという。25日には、顧客情報が流出した可能性があることを発表している。


今回の被害届は、これらの事態の重要性に鑑みて提出に踏み切ったもの。財団側は「今後は警察当局の捜査に全面的に協力し、再発防止を心がける」としている。


詳細は財団の発表を参照。
リモート・センシング技術センター、7月19日付発表「CROSSサーバの停止について
同7月25日付発表「CROSSサーバへの不正アクセスに関するお知らせ
同8月5日付発表「CROSSサーバへの不正アクセスについて(続報)

2013年8月14日水曜日

韓国宇宙ベンチャー、商業化進む。JAXAと日本航空宇宙工業会が内閣府宇宙政策委員会に報告。

内閣府の宇宙政策委員会は、9日に開催された調査分析部会において、韓国の宇宙政策の現状を調査した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)調査国際部日本航空宇宙工業会に対してヒアリングを行い、これら日本の2機関が把握している韓国の政策動向や宇宙産業振興への取り組みについて報告を受けた形だ。両機関の報告は、共に、韓国の宇宙ベンチャーについても言及している。



JAXAの報告資料によれば、韓国は、①多目的衛星「KOMPSAT」、②静止通信・海洋・気象衛星「COMS」シリーズ、及び③韓国独自のロケット「KSLV」の開発・運用に政策重点を置いており、同国の「宇宙開発ロードマップ」によれば、2016年までに地球観測衛星の製造技術の取得を、2017年までにロケットの純国産化を目指すとしている。また、宇宙探査分野においては、2017年までに月探査計画に着手した上で、26年までに月面着陸探査衛星の開発と打上げを実施する計画を掲げている模様。


加えて、日本航空宇宙工業会からは、韓国政府の指導下において財閥系の宇宙機器製造部門が統合した、韓国航空宇宙産業(KAI)の現況など、韓国の航空宇宙産業の現況について報告がなされた。同報告によれば、「世界で唯一、航空機を製造する部門を保有するエアライン」として、大韓航空機の航空宇宙部門にも紙面が割かれている。


JAXAと日本航空宇宙工業会は、共通して、報告において韓国の宇宙ベンチャー企業Satrec Initiative(SI社)に言及している。SI社は、理系大学の韓国科学技術院(KAIST)からスピンオフしたベンチャー企業。同社は、UAEの地球観測衛星について継続的に受注している(JAXA報告)他、KOMPSATシリーズのデータ利用を独占的に取り扱い、商業化を加速している(日本航空宇宙工業会報告)模様だ。中東、アジア、欧州に20以上のエンドユーザを持つとされている。


詳細は、宇宙政策委員会調査専門部会における配布資料を参照。
JAXA調査国際部「韓国の宇宙政策の概要
日本航空宇宙工業会「韓国の宇宙産業の概要
内閣府宇宙政策委員会「調査分析部会 第5回会合 議事次第

2013年8月13日火曜日

鹿児島県内企業、イプシロンロケット打上げ関連契約を相次ぎ受注。報道対応工事、事務機器のレンタルなど。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、27日に予定しているイプシロンロケットの打上げに関連する入札の結果を公開した。報道陣の取材用スタンド整備工事や、事務機器・自動車の賃貸借などの、ロケット打上げに付随するJAXAの調達に対して、地元の鹿児島県内企業が相次いで受注に成功した模様。



今回、JAXAが入札を行ったのは、内之浦宇宙空間観測所における「取材用スタンド駐車場整備工事」、「事務機器のレンタル」をはじめとする打上げに付随するもの。JAXAが公開した入札結果によれば、六宝堂が約600万円でイプシロン管制センター向けの机などを受注している他、前原造園土木が500万円で「取材用スタンド工事」を、種子島総合事務機が打上げに伴う事務機器のレンタルの種子島宇宙センター分と内之浦宇宙空間観測所分2件を、合計約400万円で受注している。


イプシロン打上げに伴う地元企業の受注状況
・内之浦宇宙空間観測所取材用スタンド駐車場整備工事
 前原造園土木(鹿屋市)が500万円で受注。

・イプシロン管制センター什器類(机、椅子等)の購入
 六宝堂(鹿屋市)が約600万円で受注。

・イプシロンロケット打上げ作業に伴う自家用自動車の借上げ(その1)
 トヨタレンタリース鹿児島(鹿児島市)が約70万円で受注。

・イプシロンロケット試験機打上げに伴う事務機器の賃貸借(レンタル)及び保守(内之浦宇宙空間観測所分)
 種子島総合事務機(西之表市)が約240万円で受注。

・イプシロンロケット試験機打上げに伴う事務機器の賃貸借(レンタル)及び保守(種子島宇宙センター分)
 種子島総合事務機(西之表市)が約140万円で受注。



詳細はJAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報

【お詫び】8月1日付、「ダイヤモンドエアサービス、HⅡ-Bロケット打上げに伴う航空気象観測を受注。 」の一部訂正について

8月1日に掲載いたしました記事、「ダイヤモンドエアサービス、HⅡ-Bロケット打上げに伴う航空気象観測を受注。 」において、同社が「不落随契により受注した」としていた文言について、実態と異なる可能性があることが判明いたしました。謹んで訂正いたします。


原因
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が公表した落札結果の誤読によるもの。


 JAXAの入札結果公開画面では、「第一回目入札」から「第三回目入札」、および随意契約に移行した場合の、応札金額、見積金額を表示する表が設けられています。通常の物品役務に係る入札は、「各回の入札」及び「不落随契見積り」について、入札の進捗、帰結(何回入札が行われたか、不落随契に移行したか)に関わらず、すべての欄を伏字(*********)にして表示されております。今回の誤読は、このような入札結果を誤読したものであり、不落随契でなかった可能性もございます。(下図参照)


 なお現時点において、JAXAおよびダイヤモンドエアサービス社は、当該入札について、不落随契に移行したか、否かを明らかにしておりません。当該記事については既に表現を訂正しております。今後は、正確な記事作成を心掛ける所存です。誤解を招きかねない表現でありましたことを、重ねてお詫び申し上げます。



解説図(今回の訂正について)

2013年8月11日日曜日

電子書籍、宇宙へ。筑波宇宙センターから国際宇宙ステーションへ配信予定。「宇宙兄弟」と一般公募作品。

電子書籍販売サイトを運営するイーブックイニシアティブジャパンは、11月から国際宇宙ステーション(ISS)に滞在予定の若田宇宙飛行士に、電子書籍を提供すると発表した。「宇宙電子本プロジェクト」と題した特設サイトを開設している。



特設サイトによれば、今回、若田飛行士に提供されるのは「宇宙兄弟」と一般公募作品。公募作品は、全国の小中学生を対象として、絵画や若田飛行士へのメッセージを募集するもの。11月以降、宇宙航空研究開発機構(JAXA)筑波宇宙センターから国際宇宙ステーションに滞在する若田飛行士のノートパソコンに向けて、電子書籍データを配信する予定だ。同社によれば、宇宙飛行士が電子書籍閲覧するのは世界初の試みという。応募期限は来月末まで。


詳細はイーブックイニシアチブジャパンの特設サイトを参照。
イーブックイニシアチブジャパン「宇宙電子本プロジェクト

2013年8月10日土曜日

2013年版防衛白書公刊。Xバンド衛星のPFI方式導入など調達関連の取り組みを紹介。過大請求事案と官製談合事件についても言及。

防衛省は先月、平成25年版の防衛白書を公刊した。白書では、航空機、誘導弾などを含む装備品調達についても一章が割かれており、F-15戦闘機の能力改修事業における「集中調達」などの取り組みや、三菱電機や住友重機械工業による過大請求事案、及び新多用途ヘリコプター官製談合事件などについても言及されている。



装備品調達について言及されているのは防衛関連施策について言及した第Ⅲ部のうちの一章。昨今の随意契約見直しや複数年契約の拡大など、国の調達制度適正化に関連した取り組みや同省が実施してきた監査機能の強化などの事例を列挙した上で、2012年に相次いだ川崎重工が受注した陸自新多用途ヘリコプターに関する官製談合事件、三菱電機による過大請求事案や住友重機械工業による同種の事案に対する再発防止対応について言及している。


近年の調達制度に関する取り組みに関しては、複数年度分の調達要求を、特定年度にまとめて予算化・契約することで効率化をはかる集中調達、各自衛隊の共通装備品を一括して調達する一括調達などの実施状況を紹介している。平成24年度における事例として、F-15戦闘機の能力向上回収におけるレーダー部品の集中調達を通して、約64億円のコスト削減効果が、陸自や空自の地対空誘導弾の共通部品(射撃管制装置、発射機など)に対する一括調達を通して、約9億円のコスト削減効果があったとしている。


また、公共サービス分野などに民間事業者を参入させ、その資金や経営ノウハウを活用するPFI方式の導入事例として、平成25年1月の、Xバンド通信衛星の調達を挙げている。PFI事業と長期複数年度契約の活用により、予算の計画的取得・執行を実現できるなどとして、期待を寄せているもの。同白書では、「今後もPFI法を活用することにより調達コストの低減が見込まれるものについては積極的に活用する。」としている。


詳細については、平成25年版防衛白書を参照。
防衛省平成25年版防衛白書「防衛生産・技術基盤の維持・強化と防衛装備品の効果的・効率的な取得
防衛省「平成25年版 防衛白書


関連記事
防衛省、川崎重工を指名停止。

防衛省、高高度無人機の導入検討へ。宇宙空間の利用促進も合わせて検討。

防衛省は先月26日、今後の防衛力整備に関する中間報告書を公表した。政府における防衛大綱見直しの流れを受け、同省が設けた「防衛力の在り方検討のための委員会」における検討の方向性をまとめたもの。同報告書によれば、警戒監視能力の強化に資するものとして、「高高度滞空型無人機」の導入を検討する方向性が示されている他、指揮統制、偵察能力などの強化のため、一層の宇宙利用に踏み込む方針も提示されている。



防衛省では、従来から高高度無人機について検討、研究を行っており、10年ほど前には、総額82億円で研究を進める構想を示し、平成15年度概算要求に約3億円を計上するなどの動向もあった。今回の中間報告書では、緊迫事態における空中からの継続的監視などの点において、「現有の装備品の能力が十分ではない」とし、高高度滞空型無人機の検討する方向性を掲げている。


加えて、航空宇宙分野に関連する事項としては、「C4ISR(指揮・統制・通信・コンピューター・情報・警戒監視・偵察)能力強化のための宇宙空間利用」として、米国との連携や衛星の活用にも言及している。


詳細は防衛省が公表した検討委員会中間報告書などを参照。
防衛省「防衛力の在り方検討に関する中間報告(平成25年7月26日)
防衛省「防衛力の在り方検討に関する中間報告について(概要)
防衛省「防衛力の在り方検討に関する中間報告について

2013年8月8日木曜日

イプシロンロケット、打上げ延期。地上系との配線不適合が原因で。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8日、イプシロンロケットの打上げを延期すると発表した。JAXAのプレスリリースによれば、ロケットと地上装置を結ぶ信号中継装置に配線の誤りが発見されたため、22日に予定していた打上げを27日に再設定した形だ。



配線の誤りが見つかったのは、点検用の信号中継装置。JAXAのプレスリリースでは、この不適合への対処に時間を要したため、打上げの延期に踏み切ったとしている。



イプシロンロケット/SPRINT-A(延期日程)
平成25年8月27日(火) 打ち上げ予定


詳細はJAXAプレスリリースを参照。
JAXAプレスリリース「イプシロンロケット試験機による惑星分光観測衛星(SPRINT-A)の打上げ延期および打上げ予定時間帯の変更について

NICT、電子入札導入へ。10月から。公共工事、政府調達を対象に。

情報通信研究機構(NICT)は1日、電子入札を導入する意向を明らかにした。当面は対象案件を絞り、説明会を通し応札者側への浸透を図る見通しだ。



国や地方自治体が整備する電子入札には、国交省方式、総務省方式、横須賀方式などの方式がある。今回、NICTが導入するのは国交省方式で、公共工事等の入札において広く採用されているもの。我が国の宇宙開発機関においては、宇宙航空研究開発機構(JAXA)も国交省方式を採用している。


詳細は、NICTの発表を参照。
NICT「電子入札システムの導入について

2013年8月7日水曜日

航空宇宙工業会、今年度の生産見通しを発表。5年連続増、前年比114%の1.3兆円規模。

日本航空宇宙工業会は先月、国内航空メーカー全体の生産見通しなどを発表した。平成25年度における航空関連生産額は、昨年度比14%増の約1.3兆円にのぼり、5年連続で増加する見通し。



同発表では、航空機本体や部品に加えて、エンジン分野での生産増が押し上げに寄与すると予測されている。平成23年度以来、我が国の航空生産額は前年比10%代のペースで増加が続いており、今年度もこの傾向が持続する見通しだ。受注額についても、輸出分を含めておおよそ100億円弱の成長が見込まれている。


詳細は、日本航空宇宙工業会発表の統計を参照。
日本航空宇宙工業会データ・統計資料「航空機の生産・輸出受注額見通し
 日本航空宇宙工業会「データ・統計資料

2013年8月6日火曜日

経団連、エネルギー技術の普及イメージを発表。2050年までの宇宙太陽光発電実用化に言及。

日本経団連は7月22日、エネルギー・環境技術の普及イメージを公表した。関連75社・団体へ行ったアンケートを取りまとめたもので、宇宙太陽光発電(SSPS)について、「2050 年に100 万kW 級発電の実用化を目指す」との回答があった旨が明らかにされている。



SSPSは、宇宙空間に設置した太陽光発電設備により発電した電力を、マイクロ波などを介して地球に送電するアイディア。1960年代に米国で提唱された。我が国においては、経済産業省が宇宙システム開発利用推進機構を通じて開発を進めているほか、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や三菱電機、三菱重工なども研究開発に取り組んでいる。


今回、経団連が取りまとめたアンケート結果によれば、関連企業等から「2050 年に、100 万kW 級により8 円/kWh の発電」を実用化するため、①2km 四方の太陽光発電パネル、②空間送電技術、③運用・維持技術などの開発を行うとの回答があったとされている。アンケート調査は経団連の関連部会に参加する75社・団体に対して行われ、内、33者から回答があった模様。


SSPSを巡っては、今年1月制定の宇宙基本計画において「我が国のエネルギー需給見通しや将
来の新エネルギー開発の必要性に鑑み、無線による送受電技術等を中心に研究を着実に進める」方針が示されている。最近の動向としては、宇宙システム開発利用推進機構が先月5日に開発状況を発表しているほか、同25日にはJAXAが実験設備の調達に乗り出している。


宇宙太陽光発電(SSPS)をめぐる動向
経済産業省-宇宙システム開発利用推進機構:
エネルギー伝送にかかる精密ビーム制御技術を研究
JAXA:
エネルギー伝送技術、宇宙空間での大規模構造物建造技術を研究
三菱電機:
ソーラーバード構想を発表。送電部、ビーム制御部の研究に関与。
三菱重工:
エネルギー伝送技術、大型構造技術の研究に関与。


詳細は経団連発表のアンケート結果などを参照。
日本経団連「2050年に向けたエネルギー・環境技術の普及イメージ
日本経団連「エネルギー・低炭素化関連技術アンケート結果概要
宇宙システム開発利用推進機構「SSPS開発概要
JAXA公告「レーザー方式宇宙太陽光発電システム地上伝送実験用レーザー伝送システムの開発
JAXA契約・調達情報「技術提案方式の公告・選定結果の公告

2013年8月4日日曜日

海保、「だいち」後継機の画像利用へ。JAXAが画像データ関連の調達に着手。海氷監視目的。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1日、開発中の陸域観測技術衛星「だいち」2号(ALOS-2)による海上保安庁への画像提供について、関連調達を開始した。ALOS-2による海保への画像提供については、2009年に文科省宇宙開発委員会(当時)においても主要な開発目標として報告されている。



海上保安庁ではオホーツク海など北海道周辺海域における海氷について、海難事故を防止する観点から、監視活動を続けている。航空機、船舶による監視に加え、JAXAが提供する地球観測衛星からの画像も利用していることが明らかにされている。


JAXAは、09年に当時の文科省宇宙開発委員会において、ALOS-2による海保への海氷画像情報の提供を、ALOS-2プロジェクトの目標として掲げた経緯がある。今回、JAXAが調達に着手したのは、画像データの作成と海保への配信システムの構築支援などの業務。調達は競争参加者を公募する方式で行われる見通し。応募期限は15日まで。


詳細はJAXAが公表した公告及び、過去の宇宙開発委員会付議資料などを参照。
JAXA公告「オホーツク海及び北海道周辺における海氷密接度画像作成
JAXA契約・調達情報「参加者確認公募の公告
宇宙開発委員会におけるJAXA資料「陸域観測技術衛星2号(ALOS-2) プロジェクトについて
文科省宇宙開発委員会「宇宙開発に関する重要な研究開発の評価 陸域観測技術衛星2号(ALOS-2)プロジェクトの事前評価結果

【速報】H-ⅡBロケット/国際宇宙ステーション補給機「こうのとり」4号機(HTV4)打上げ成功。

国際宇宙ステーション補給機「こうのとり」4号機を搭載したH-ⅡBロケット4号機については、種子島宇宙センターからの打上げに成功した模様。JAXAが配信した中継映像などから確認された。

2013年8月3日土曜日

HⅡ-Bロケット4号機の打上げ時刻決定。4日4時48分46秒、種子島宇宙センターから。

三菱重工宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2日、宇宙ステーション補給機「こうのとり」4 号機 (HTV4)を搭載したHⅡ-Bロケット4号機の打上げについて、発射時刻を発表した。4日未明に種子島宇宙センターから打上げを計画している。



JAXAでは、今回のHⅡ-Bロケットに加えて、イプシロンロケットの打ち上げを今月下旬以降に予定している。イプシロンロケットは、内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられる予定。


詳細はJAXAプレスリリースを参照。
三菱重工・JAXAプレスリリース「H-IIBロケット4号機による宇宙ステーション補給機「こうのとり」4号機(HTV4)の打上げ時刻について


関連記事
H-2Bロケット及びイプシロンロケット打ち上げへ
JAXA、HTV4号機のプレスキットを公表。ベトナム小型衛星、日本実験棟用冷凍庫等を輸送。
ダイヤモンドエアサービス、HⅡ-Bロケット打上げに伴う航空気象観測を受注。

防衛省、川崎重工を指名停止。

防衛省は7月31日、川崎重工に対し、同日付で指名停止措置を講じた旨を発表した。東京地検による、多用途ヘリ官製談合事件の捜査に関連する措置。同省内に設置された再発防止委員会の調査報告書がまとめられたことから踏み切ったもの。



指名停止と同時に公表された「陸上自衛隊多用途ヘリコプター(UH-X)開発事業の企業選定に係る事案調査・再発防止検討委員会」の調査報告書によれば、技術研究本部に在籍していた幹部自衛官が、次期多用途ヘリコプター選定に係る企画競争において、川崎重工の提案に有利となるような仕様書策定を行っていたことが明らかにされている。


指名停止期間は2か月とされており、この間、川崎重工は防衛省の調達への参加が制限される模様。川崎重工は、今回の指名停止措置について、「誠に遺憾であり、厳粛かつ真摯に受け止めている 」としており、コンプライアンス体制の見直しなどの再発防止に取り組むとしている。


詳細は、防衛省のプレスリリース、再発防止委員会報告書及び川崎重工のプレスリリースを参照。
防衛省プレスリリース「川崎重工業株式会社に対する指名停止の措置について
防衛省再発防止委員会報告書「陸上自衛隊多用途ヘリコプター(UH-X)開発事業の企業選定に係る事案に関する調査報告書
防衛省「陸上自衛隊多用途ヘリコプター(UH-X)開発事業の企業選定に係る事案調査・再発防止検討委員会
川崎重工プレスリリース「防衛省の指名停止に関するお知らせ

2013年8月2日金曜日

リンク、航空運送事業許可を申請。日本初のリージョナルLCC就航目指す。

リンクは7月12日、国土交通省に対し航空運送事業の許可を申請した。昨年の会社設立以来目指してきた、リージョナルLCC(主要都市と近隣都市間を結ぶ格安航空)の就航に踏み切った形だ。国交省の承認が得られた場合、福岡空港と北九州空港をハブとして、宮崎、松山両都市でLCC路線を開設する予定。



リンクが発表したプレスリリースによれば、全ての路線で70席クラスのATR72-600を導入する計画。今年6月には3機分のリース契約を締結している。


申請は大阪航空局が受理した。今後、航空法第101条に基づく審査が実施される見通し。


詳細はリンクが公開したプレスリリースを参照。
リンクプレスリリース「日本初の”リージョナルLCC”(株)リンクが航空運送事業の許可を申請

2013年8月1日木曜日

ダイヤモンドエアサービス、HⅡ-Bロケット打上げに伴う航空気象観測を受注。

ダイアモンドエアサービスは7月29日、HⅡ-Bロケット4号機の打上げに際しての気象観測業務を受注した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が実施した入札に応じ、300万円の金額で落札したことが公表されている。



ダイアモンドエアサービスは、気象観測などの実績を有しているほか、これまでにもHⅡ-Aロケットのフェアリングや、無人宇宙実験システム研究開発機構(USEF、現在の宇宙システム開発利用推進機構)が開発した我が国初の回収型無人衛星「次世代型無人宇宙実験システム」(USERS)の回収探索飛行に成功している。


今回の入札は、応札者が申し入れた入札価格で競争する、一般競争入札により実施された。JAXA側が公開した入札結果によれば、ダイヤモンドエアサービスが300万円の金額で落札したことが明らかにされている。


詳細はJAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報


※8月1日、入札結果画面への直接リンクが機能しないため、当該リンクを削除いたしました。
※※8月12日、当初、「不落随契により受注」としていた記述を削除。

JAXA、HTV4号機のプレスキットを公表。ベトナム小型衛星、日本実験棟用冷凍庫等を輸送。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は23日、H-ⅡBロケットによる打上げを予定している宇宙ステーション補給機「こうのとり」4 号機 (HTV4)に関するプレスキットを公表した。報道関係者向けにJAXAが用意したミッション概要等の説明資料を、一般に公開したもの。NASA向けの物資の他、日本実験棟「きぼう」(JEM)において使用される冷蔵庫やラーメン、おにぎり等の「宇宙日本食」を輸送する見通しだ。JAXAは、前回のHTV3号機を以て、補給機の開発を完了しており、今回の4号機からは「定常運用化」を図りたい考えだ。



HTV4号機では、船内与圧部に約4トン、船外暴露部に約1.5トンの計5.5トンの物資が輸送される予定。重量の75%をNASAなどの海外宇宙機関向けの物資が占めるが、残りの25%は「きぼう」に設置する冷蔵庫など、JAXAが利用する物資を輸送する計画。


また、HTV4号機の輸送物資には、小型衛星も含まれている。東京大学などがベトナム国立衛星センター(VNSC)と共同開発した「PicoDragon」など、4機の小型衛星を国際宇宙ステーション(ISS)へ輸送した上で、「きぼう」から射出する予定。


HTV4号機主要カーゴ
●NASAカーゴ
・気象観測用船外実験装置
・電力系統の予備部品など

●JAXAカーゴ
・「きぼう」用冷蔵庫
・宇宙輸送用保冷ボックス(実証実験)
・船内環境モニタリングシステムなど

●その他
・「宇宙日本食」


今回輸送される「宇宙日本食」
日清食品ホールディングス しょうゆラーメンなど
マルハニチロ 鯖の味噌煮、さんまのかば焼きなど
山崎製パン 羊羹
ロッテ キシリトールガム
など


詳細はJAXAが公開したプレスキットを参照。
JAXAプレスキット「宇宙ステーション補給機「こうのとり」4 号機 (HTV4)ミッションプレスキット
JAXA「宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センター


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JAXA、宇宙食の候補食品を募集。