宇宙航空研究開発機構(JAXA)は30日、イプシロンロケットの打上げ中止に関する原因究明の状況について発表した。JAXAの発表内容によれば、現時点で判明している原因として、LCSと呼ばれる地上設備の動作が、想定よりも約0.07秒早かったため、発射19秒前で打上げ手順が自動停止されたことが挙げられている。
LCSとは、イプシロンロケットの点検や打上げを制御、モニタリングする装置。発射場から2km離れたイプシロン管制センターに設置されている。LCSはロケットの姿勢監視にも使用する装置で、発射20秒前からロケット本体が計算する姿勢データを受信する手順だった。
27日の打上げでは、このLCSの動作が約0.07秒早かったため、ロケット本体が姿勢データの算出を開始する前に、姿勢監視が開始された。ロケット本体からLCSへ姿勢データが送信されるよりも早く、LCSが姿勢監視機能を作動させた結果、「姿勢異常」が誤検知されて打上げ手順が自動停止されたことが明らかとなっている。
JAXAは、イプシロンロケットの打上げに先立って、リハーサルなどを実施し、打上げ手順が計画通り進行するか確認してきた。にもかかわらず、LCSが0.07秒早く動作することの問題点に気づかなったことについて、JAXA側は「約0.07秒の微小なずれまでには思いが至らなかった」としている。
詳細はJAXAが公開した記者説明会資料を参照。
JAXA記者説明会資料「イプシロンロケット試験機 打上げ中止の原因究明状況について」
参考記事
イプシロンロケット、打ち上げ中止。発射直前にロケット本体が自動停止。
※9月4日、タイトルの誤記を修正いたしました。