内閣府の宇宙政策委員会は、9日に開催された調査分析部会において、韓国の宇宙政策の現状を調査した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の調査国際部と日本航空宇宙工業会に対してヒアリングを行い、これら日本の2機関が把握している韓国の政策動向や宇宙産業振興への取り組みについて報告を受けた形だ。両機関の報告は、共に、韓国の宇宙ベンチャーについても言及している。
JAXAの報告資料によれば、韓国は、①多目的衛星「KOMPSAT」、②静止通信・海洋・気象衛星「COMS」シリーズ、及び③韓国独自のロケット「KSLV」の開発・運用に政策重点を置いており、同国の「宇宙開発ロードマップ」によれば、2016年までに地球観測衛星の製造技術の取得を、2017年までにロケットの純国産化を目指すとしている。また、宇宙探査分野においては、2017年までに月探査計画に着手した上で、26年までに月面着陸探査衛星の開発と打上げを実施する計画を掲げている模様。
加えて、日本航空宇宙工業会からは、韓国政府の指導下において財閥系の宇宙機器製造部門が統合した、韓国航空宇宙産業(KAI)の現況など、韓国の航空宇宙産業の現況について報告がなされた。同報告によれば、「世界で唯一、航空機を製造する部門を保有するエアライン」として、大韓航空機の航空宇宙部門にも紙面が割かれている。
JAXAと日本航空宇宙工業会は、共通して、報告において韓国の宇宙ベンチャー企業Satrec Initiative(SI社)に言及している。SI社は、理系大学の韓国科学技術院(KAIST)からスピンオフしたベンチャー企業。同社は、UAEの地球観測衛星について継続的に受注している(JAXA報告)他、KOMPSATシリーズのデータ利用を独占的に取り扱い、商業化を加速している(日本航空宇宙工業会報告)模様だ。中東、アジア、欧州に20以上のエンドユーザを持つとされている。
詳細は、宇宙政策委員会調査専門部会における配布資料を参照。
JAXA調査国際部「韓国の宇宙政策の概要」
日本航空宇宙工業会「韓国の宇宙産業の概要」
内閣府宇宙政策委員会「調査分析部会 第5回会合 議事次第」
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