情報通信研究機構(NICT)は16日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や東京大学地震研究所、高知工業高等専門学校、日立造船と共同で、準天頂衛星初号機「みちびき」と技術試験衛星Ⅷ型「きく8号」(ETS-Ⅷ)によるGPS津波計からのデータ伝送実験を開始 したことを発表した。今回の実験は、「みちびき」から送信された精密な時刻情報(精密暦)に基づいて津波計が計測を行い、その結果を「きく8号」により地上局に転送する試みだ。
NICTのプレスリリースによれば、高知高専の全体統括の下、日立造船が精密暦データの作成を、JAXAが「みちびき」「きく8号」による精密暦データや津波計の観測データの転送を、NICTが津波計と「きく8号」間の送受信システムを開発する役割分担だ。この実験により地上に転送された津波計の観測データは、広く一般に配信される他、東大地震研による次世代津波防災システムの検討に利用される計画。
東日本大震災に伴う津波では、国土交通省港湾局が配備した津波計の観測データなどに基づき、気象庁が津波警報を引き上げた実績がある。しかしながら、津波第一波の観測後は、被災地域の停電に伴う通信遮断により、津波計の観測データをリアルタイムに受信できない状況も発生していた。今回は、東日本大震災における津波計のリアルタイムデータの喪失を背景として、地震や津波による被害の無い地域へ津波のデータを伝送する仕組みを構築し、早期津波警戒システムの確立することを目的としている。
「みちびき」と「きく8号」を用いた早期津波警戒システムについては、高知高専の提案により、文科省の宇宙科学技術推進調整委託費のテーマに選定されている。今回の実験は高知県室戸沖に設置された津波計を対象として実施される予定。
詳細はNICTなどのプレスリリースを参照。
NICTプレスリリース「準天頂衛星初号機「みちびき」と技術試験衛星Ⅷ型「きく8号」を用いたGPS津波計からのデータ伝送実験を開始」
日立造船プレスリリース「準天頂衛星初号機「みちびき」と技術試験衛星Ⅷ型「きく8号」を用いたGPS津波計からのデータ伝送実験を開始」
JAXA「きく8号」(ETS-Ⅷ)最新情報詳細「技術試験衛星Ⅷ型「きく8号」を用いたGPS津波計からのデータ伝送実験を開始」
室戸沖GPS津波計沖合実証実験「観測データ公開ページ」
関連記事
文科省、宇宙科学技術の推進に係る委託テーマを選定。衛星を用いた早期津波警戒システムの開発など10テーマ。
0 件のコメント:
コメントを投稿