2017年8月22日火曜日

JAXA、2020年代後半の低ブーム超音速旅客機開発に向け、実証機の概念検討に着手。超音速機市場の先取り目指す。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は21日、静粛超音速機に関する技術実証機の概念検討業務の調達に着手した。JAXAによれば、今後実証機の機体仕様を絞り込む上での判断材料として、検討能力を有する企業等の入札参加をもとめている。



これまでJAXAは従来より低騒音で飛行する超音速旅客機の開発につながる技術として、ソニックブーム(航空機が音速を突破した際に生じる衝撃波)を低減させる機体の設計技術の実証を目的としたD-SENDプロジェクトなどに取り組んできた。D-SENDでは、ソニックブームを低減する設計コンセプトの有効性を世界で初めて実証しており、国際民間航空機関(ICAO)におけるソニックブームの基準策定にも貢献しているという。


平成26年に文部科学省が発表した次世代航空機戦略ビジョンでは、「我が国の航空機産業が自動車産業に比肩する成長産業として発展するため」に、超音速機の研究開発に取り組みマーケットでの主導権を握る戦略が示されている。JAXAも、過去に航空技術委員会で「アジア圏を日帰り可能とする超音速旅客機の実現」を「価値ある技術」として位置づけ、「静粛超音速機」の設計技術の研究開発を進めていく認識を示している。


JAXAは、現在進める研究開発を通じて、エンジン付き機体形状における設計技術や、低騒音着陸などとの両立といった技術を実証したい考え。今回は、将来JAXAが策定する実証機案の基礎資料として、検討能力を持つ企業に対し、目標性能や主要性能、技術実証可否、プロジェクト規模や開発機関の検討を求めている。検討企業の選定は価格を評価する一般競争入札にて行われる。来月8日に入札説明会が開催され、12日までの参加申し込みを経て、21日に入札・開札が行われる見通し。


過去にJAXAが超音速実験で使用した実験機
(C)航空宇宙経済新聞


詳細はJAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報

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