宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4日、次期基幹ロケット(いわゆるH-Ⅲロケット)の検討状況に関する資料を公表した。同日に開催された文科省科学技術・学術審議会の宇宙開発利用部会への報告内容を公表したもの。これまでの検討状況として、打上げを補助する固体ロケットブースターについて、イプシロンロケットとの共通化を検討していることなどが明らかにされている。
JAXAはH-Ⅲロケットの開発を通し、我が国の宇宙輸送ビジネスを「自律的かつ持続的な事業構造」へ転換を図るとしている。打上げコストや維持費の削減を行う一方で、商業受注や海外からの打上げ輸送サービスの受注拡大により、事業規模の縮小を回避し、産業基盤を強化する考えだ。
ミッション要求としては、コストの削減と打ち上げスケジュールの柔軟化を掲げる構想だ。ロケットの整備期間の短縮、地上設備の簡素化などを通し、現行のH-ⅡA/H-ⅡBの半額のコストと打上げ準備期間や打上げ間隔の短縮を実現し、国際競争力を強化を目指す構え。
また、開発の方針として、すでに液体水素/酸素による液体推進系と固体ブースタの組み合わせを採用したことを明らかにしている。現在我が国が保有している技術やインフラ(種子島宇宙センターなど)の活用や、イプシロンロケットの第二段目とH-Ⅲロケットの共通化を選定理由として挙げている。
JAXAは、H-Ⅲロケットの競合相手として、ファルコン9ロケット(米)、アリアン6(欧)、アンガラ(露)、長征5号(中)、GSLV(印)などを想定しているが、打上げコストの削減や柔軟な打ち上げスケジュールなどを強みに、これら競合ロケットに対抗できる「商業市場で売れるロケット」としてH-Ⅲロケットを開発していく計画だ。初打ち上げは2020年を予定している。
詳細はJAXAのプレスリリースを参照。
JAXAプレスリリース「新型基幹ロケットに関する検討状況について」
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